時代や文化とリンクしたお酒に関する旬の情報サイト
酒文化研究所ホームページ
会社概要酒文化の会メールマガジンContact UsTOP
イベント情報酒と文化コラム酒文研おすすめのお店酒文化論稿集酒飲みのミカタ特ダネ
海外の酒めぐり日本各地の酒文化見学できる工場・ミュージアム酒のデータボックスアジア酒街道を行くリンク集

<<酒論稿集トップへ

過去記事一覧

清酒の量産と品質

近代酒類流通の
  源流をたどる


京都老舗酒販店の
  明治・大正・昭和


東京下町の小売酒屋
 激動の昭和史


酒販免許前夜
 浪速の酒屋


食の洋風化と
  ワインの和風化


20世紀を象徴する酒
 甲類焼酎


ウイスキーの日本化は
  いかに進められたか


ビールこそが
  「20世紀の日本の酒」


自由度の高さと
  風土性の豊かさ
  −乙類焼酎の100年


宮廷の酒・国家の酒・
  大衆の酒−泡盛の100年


清酒の文明化と文化性
  の再構築


酒論稿集
20世紀の酒文化
宮廷の酒・国家の酒・大衆の酒−泡盛の100年
昔の泡盛は45度
−当時の泡盛と今の泡盛の違いはどんなところですか。
佐久本 戦前の泡盛はアルコール度数が45度だったんです。戦時下には品不足だから、アルコールの度数をどんどん下げていって、昭和19年頃には25度のものも出ましたが、だいたい45度でした。
今は標準が43度です。乙類焼酎の規定にアルコール度数は45度以下というのがあって、45度ちょうどにするのはなかなか難しい。0.1とか0.2とか狂っちゃうんです。それで少し余裕を持たせて43度にしようってことで、戦後は標準が43度になった。
もっとも泡盛もいろいろ出て、今は度数はさまざま。うちが出しているこのカップは15度ですよ。清酒と同じ。これなら水がなくても飲めますからね。パーティで一升瓶と水をもってウロウロするわけにはいかないから、こういうのも要ります。先代がいたら「何だこれは。これが泡盛か」と言いよったと思うんだけどね、これも時代の流れです。
いろいろ増えたんで銘柄も「瑞泉おもろ」とか「瑞泉翔」とか作りました。本流は「瑞泉」でこれは動かないですが、小印を付けた。

銘柄の使用は瓶詰め以後
−「瑞泉」という銘柄は戦前からお使いだったんですか。
佐久本 戦前は年一回の品評会に出す時くらいしか銘柄は使いませんでした。トゥータンという二升五合入りのトタン製の容器で卸して、小売店が量り売りするのですから、ラベルもなかった。工場にも看板すらありませんでしたよ。瓶詰めでバラ売りされるようになったのは民営化されたあと、昭和25年頃だったと思います。識名酒造さんが最初だったんじゃないかな。本土から入って来たソースかなんかの空き瓶に詰めていました。「もう瓶詰めにしなければ駄目だ」というのでうちがやったのは昭和33年頃。この時に先代が使ってた「瑞泉」にすることに決めました。
瓶詰めにしたといっても、瓶詰め工場があるわけでなし、使用済みのビール瓶や醤油瓶を回収して再利用していました。一本一本ブラシで洗ってね。酒をゴムホースで詰めるんです。本土復帰の頃までそんな状態でしたよ。

官民あげての技術開発
−清酒は醸造試験場などの技術指導がありましたが、泡盛もあったのでしょうか?
佐久本 今回の瑞泉菌の仕込みでも鑑定官の先生にはご指導いただいたし、県の工業試験場には常々お力添えいただいております。泡盛もこうした技術指導で安定した酒が量産できるようになったのは清酒と同じです。
−すると、泡盛の酵母も清酒のように醸造協会が配布しているのですか?
佐久本 ええ。沖縄国税事務所鑑定官室が昭和54年に「泡盛酵母一号」を開発したんです。収量も多く、腐造防止にもすぐれた酵母で、しかも香りがよい。それまでは仕込み後3〜4日目の醪をとっておいて種醪として使っていました。
−そうなんですか。先ほど本土復帰の頃まで瓶詰めが手作業だったとうかがいましたが、機械化が進んだのは最近のことですか?
佐久本 うちが自動瓶詰機や自動製麹装置を入れたのは昭和46年頃でした。他の酒屋さんもその頃だと思います。
機械化で仕込みの量は段違いに大きくなりました。今では一本2.5トンの米をステンレスタンクで仕込みます。戦前は一石甕で仕込んでいたんですから大違いです。
−戦後、ドラム缶で仕込み始めてからステンレスタンクで仕込むようになるまでは、どんな仕込み容器を使っていたんですか。
佐久本 ドラム缶は四カ月ぐらいで錆が出たりして使えなくなってしまうんです。それで、昭和29年に組合で琉球政府に補助金を申請して、肥前一石甕を一括購入しました。このあと肥前甕での仕込みが一般的になりました。
−貯蔵熟成させるのも肥前甕ですか。
佐久本 あれは焼き物で熟成させるのがいいと言うんだ。昔は甕を半分土の中に埋めてやっていました。今はステンレスやホーローのタンクでやったり、いろいろです。樫樽で貯蔵したものもあって、若い人には好評のようです。貯蔵容器によって酒の呼吸が違いますし、味わいもずいぶん変わります。
−焼き物ですとかなり酒が減るんじゃないでしょうか?
佐久本 そりゃあ減りますよ。だから甕で買っていったお客さんが、後から「佐久本さん酒が少ないんだけど、あの甕は漏るんじゃないの」なんて言うことがありますよ(笑)。

<<前頁へ      次頁へ>>