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第1回 ハッピーを大きくしたプレミアムビール
狩野卓也


第2回 変わりゆく饗宴外交
西川恵


第3回 かかりつけの名医のみつけ方
松井宏夫


第4回 日本の赤ワインの礎「マスカット・ベーリーA」
坂田 敏


第5回 週末はいつもアウトドア
廣川健太郎


第6回 不可能の壁を超える実践優位のマーケティング
石井淳蔵


第7回 ブレンダーという仕事
輿水精一


第8回 過去の体験が濾過されて曲になる
村井秀清


第9回 グラスはつくり手と飲み手をつなぐ
庄司大輔

第10回 落語を世界へ 英語で伝える日本の話芸
立川志の春


第11回 和食は「ご飯がたべたい」料理の文化
阿古真理


第12回 若者のための酒場歩きガイド
橋本健二


第13回 画像で気持ちが伝わる ネット口コミが市場を動かす
徳力基彦


第14回 創業60周年 復活した十三トリスバー
江川栄治


第15回 カクテルバーのコミュニティ
豊川紗佳


第16回 次に目指すは日本のバー文化の底上げ
坪倉健児


第17回 カクテルアワード受賞経験を倉敷で活かす
松下知寛

第18回 地域でつくるオペラアカデミー「農楽塾」
中嶋彰子

第19回 「消費されるワインの最高峰」を目指して
椎名敬

酒論稿集
酒器論稿

地域でつくるオペラアカデミー「農楽塾」
■歌は表現するための武器
 オペラは歌劇、歌うだけでなく演じる芸術だ。遠くまできれいに通るよう声に磨きをかけ、楽譜どおりに歌うスキルを身につけただけでは評価されない。舞台上で役柄を演じる表現力が求められる。シドニーのオペラハウスのコンクールで優勝し、イタリアの歌劇場にデビューした彼女に必要だったのも演技力だった。
 
フィジカルなトレーニングは必須項目−− 演技はどこで学んだのですか?
中嶋 大学では声楽を学びましたが、演技はその後で身につけました。歌は技術で、オペラはそれを武器に役柄を表現します。しっかり声を出す身体づくりや発声、呼吸の仕方など、声楽のトレーニングはスポーツと同じ反復練習です。まずはこの基礎をしっかりつくりますが、オペラで演じることのうち、技術ウエートは8割くらいでしょうか。フィギュアスケートに似ていますね。ジャンプなどの技術の部分があって、さらに表現力で聴衆を感動させます。

−− 演技のトレーニング方法は確立されているのですか?
中嶋 さまざまな手法はありますが、一定のレベルまで行ったら、舞台に立って精一杯演じる経験が一番重要です。日本のオペラ公演は数回しかやらないので、なかなか経験を積めません。1回だけの公演では間違えずにできるだろうかと恐怖心だけで終わってしまいます。10回、20回、30回と演じると、相手が間違えたり、体調が不十分だったり、いろいろな経験をしながら頭と身体をフルに使って演じ抜かなければなりません。
 こうした経験から、今ではどんな相手と舞台に立っても負けません。いろいろ工夫もします。たとえば小柄なのでステージで相手と横に並んでしまうと、客席からは弱々しく見えてしまいます。遠近法を利用して常に自分の存在感が増す位置に立ちます。アドバイスをくださる方はいましたが、常に自分を引き立たせるためにできることを考えてきました。
 
秋期公演会はホールを借り切り盛大に開催■芸術で地域振興というチャレンジ
 農楽塾は板倉町のボランティアによって運営されている。中嶋がつくったカリキュラムを現場に落とし込み、塾生の受け入れ態勢を整えるのは農家や主婦のボランティア達だ。秋期公演では公演プランをもとにホームセンターなどで材料を調達して、手分けして大道具・小道具をつくり、時にはエキストラとして出演もする。公演の告知やチケットの販売も引き受けており、農楽塾は地元の絶大な協力のうえに成り立っている。

今年の秋期公演会は館林市三の丸芸術ホール(群馬県館林市)で9/17(日)に開催。チケット発売中−− 農楽塾は地域の活性化も狙いのひとつだとか?
中嶋 ええ、教育と地域活性化は2本の柱です。欧州ではオペラハウスを持つことで活性化している町が珍しくありません。オペラには600人もの人が関わります。演奏するオーケストラや役者、合唱する人、衣装やセットをつくる人など、準備から公演までに一か月かかるのでその間のスタッフの食事や宿泊なども必要です。公演を大勢の方が見に来て、食事をしたり飲んだりして行きます。千人も二千人も入る大きな劇場でなくていいのです。急ぐ必要はないと思っていますが、コンパクトなホールを起点に、芸術や文化活動で地域振興を図るコンセプトは、日本でもっとチャレンジしていいと思います。
 農楽塾は地元のボランティアの方々に、塾生たちの合宿や公演をサポートしていただいています。オペラアカデミーはたくさんありますが、講師と生徒と地域の方がここまで一体になったものはほかにありません。繰り返し参加する方が多いのは、得るものが大きいと評価していただいているからでしょう。
 塾生には農楽塾の活動を通じて舞台人としての豊かなマインドを培ってもらいたいと思います。コンサートホールでスポットライトを浴びるだけでなく、人の心を豊かにするために、感動を求める人のもとに足を運ぶアーティスト。困っている人や弱い立場の方に寄り添って、笑顔になってもらうことをよろこびにできる舞台人を育てたいです。■

(2017年8月10日 於 響 有楽町店 聞き手 山田聡昭・酒文化研究所)


公演会の成功を祝い、塾生、講師、ボランティアで打ち上げ公演会の成功を祝い、塾生、講師、ボランティアで打ち上げ

今年の秋期公演会は館林市三の丸芸術ホール(群馬県館林市)で9/17(日)に開催。チケット発売中
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