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清酒との代替可能な乙類焼酎
−酒税法を見ますと、焼酎はほとんど定義がないに等しいようですね。
鮫島 ただ「焼酎らしさ」というのは、みんなわかっているわけです。それは蒸留酒だけれども醸造酒のように飲めるという特性でしょう。「せっかく蒸留したのに、なんでお湯で薄めるのか」という、蒸留酒の世界からみたら非常に不思議な飲み方ですよね。料理が目の前にある時に、清酒と置き換えてもなんの違和感もない。蒸留はしているけれども、属性からいくと醸造酒的なもの。あるいは一次会の酒、二次会の酒と分ければ、一次会の酒としての飲まれ方をされた。
 そういうものが、焼酎らしさの背景にある。だから芋や蕎麦や米やいろんなものがありますけれども、共通した世界というのがあるわけですよ。
−マーケットとして考えると、もともと焼酎は、飲むシーンとしては日本酒とまったく同じような場で育ってきたということですね。
鮫島 ええ。だけど、沖縄や鹿児島で清酒がもし造れたら、焼酎みたいなものは生まれなかったのではないか。少なくとも、こんなに普及しなかっただろうと思います。鹿児島はシラス台地で米が作れないというのが非常に大きな要因になっているわけです。そして暑いところですから、米が取れたとしても清酒が造れない。造ったとしても保存がきかない。だから、焼酎を飲んでいる。
 だけど、日本人だから飲み方というのは、盃をやりとりしながら、長時間語らいながら飲む。そのためには、ある程度度数が低くないといけませんよね。それで、お湯割りという飲み方が生まれてきたんでしょう。

乙類焼酎と本格焼酎
稲富 定義の話をされていましたが、本格焼酎、甲類も含むのかしりませんけど、再定義しようという動きがあるようですね。
鮫島 ええ。多少内部で揉めていることもあるのですが、もともと酒税法上、定義はあってないようなものです。歴史的に見てみると、日本の蒸留酒というのはすべて焼酎でした。昔は蒸留酒の代名詞が焼酎という言葉だった。それがいまでは、連続式蒸留機が出てきて甲類焼酎の分野ができた。あるいはウイスキー、スピリッツというジャンルができた。残ったものが乙類焼酎という話になって、だから原料の規定もなにもありません。ただウイスキーになるものはダメですよとか、ブランディになるものはダメですよというようになっている。だからそのすき間を縫って、まさかこれからアルコールは出ないだろうというようなものまで商品化されたわけです。
 そして造り方にも定義がないようなものです。連続式蒸留機はダメですが、単式蒸留器を使うものであればなんでも乙類焼酎になります。だけど、それだけで本格と呼ぶには、ちょっとおこがましいというのがあるわけです。だから、乙類焼酎の名前はそのままにしておきましょう。そのなかで、本格焼酎という名前を厳密に定義しましょうという話になるわけです。
 たとえば本格焼酎と呼べるのは、いまの案の段階では、麹を使いましょうということです。
 もうひとついちばん大きな問題は原料です。原料をどこまで認めるかということが実に難しい。区切りようがないんですね。すでにいろいろな本格焼酎が市民権を得ているわけです。その既得権を奪う権利がどこにあるのか、という話にもなります。しかたがないから、ここ数年間に商品化されているものは認めようじゃありませんかという話になりつつあります。
−現実的に考えると麦、芋、米、蕎麦、とうもろこし、黒糖、酒粕、その後は細かいのがありますね。
鮫島 芋といったらジャガイモもなんとか芋も全部入るのかとなるし、ゴマといったらまたいろいろ出てくるし。そのあたりでいろいろ揉めました。
稲富 糖質原料でないものを仲間に入れるというのは、確かにちょっと違和感もありますよね、原料表示として。
鮫島 本格焼酎そのものをひとつにするのがいいのでしょうが、酒税法のなかで、一方に甲類焼酎が厳としてあるわけです。甲類焼酎があればこれに対抗してなにかがないといけない。甲類焼酎がたとえばスピリッツに変われば、焼酎は焼酎でひとつにまとまって造るということもできると思うのですが。

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