時代や文化とリンクしたお酒に関する旬の情報サイト
酒文化研究所ホームページ
会社概要酒文化の会メールマガジンContact UsTOP
イベント情報酒と文化コラム酒文研おすすめのお店酒文化論稿集酒飲みのミカタ特ダネ
海外の酒めぐり日本各地の酒文化見学できる工場・ミュージアム酒のデータボックスアジア酒街道を行くリンク集

 
<論稿集トップへ

「天の美禄」を止めますか?

大人の文化と酒の飲み方

ワンカップはどう生まれ、どこへ行くのか?

「酒を混ぜる文化」考

諏訪杜氏の特質と「出稼ぎ」労働力輩出の背景

日本の蒸留酒の未来(上)

日本の蒸留酒の未来(下)

酒を交ぜる 酒を寝かす

大地の精霊とワイン

文明化の一極として
  ある文化の酒


「乾杯」越境した酒作法
酒論稿集
酒の文化論
日本の蒸留酒の未来(上)
甲乙混和の最大の問題は表示
鮫島 いま起きている問題は、麦焼酎を入れると中身が甲乙混和であってもこれを麦焼酎として売ってしまうということです。
 昔も、フレーバリングというか、味付けに乙類を使っていましたが、それはあくまで甲類焼酎として売っていた。だから甲類焼酎に五%まで乙類を入れるのも、これは表示しなくてよいというかたちで、いまでも認められているわけです。
 いま問題にしているのは、甲に乙を四〇%入れたらこれは麦焼酎ですという話になってくると、乙類と直接バッティングしてしまう。イメージそのものは、乙のいいイメージを利用して、片方では表示の義務もないという話になる。だから麦焼酎と名乗るのであれば、少なくとも乙類がやっている程度の表示はやらないとおかしいじゃないですか、という話なのです。
 ひょっとしたら甲類があって乙類があって、甲乙混和というジャンルがもうひとつ出てくる必要があるかもしれない。それは乙類にとっては、焼酎らしさ、乙類らしさという世界をどうするかという根本に関わる問題にたぶんなってくると思うんですよね。
稲富 たしかに、甲乙混和における定義と表示のところはきちっとしないといけませんね。もうひとつ、味の面からいって、いまの乙類焼酎はニュートラルスピリッツのような軽いベースを混ぜないと飲み難いということではないですね。
−もともと、それで飲みやすいものにできあがっているわけですから。
鮫島 乙類の側から乙甲混和を考えるとしたら、コストダウンだけです。もっと安い麦焼酎を造ろうと思えば、麦焼酎に四九%までは、甲を混ぜることはできるわけですから。ただ、イメージ的になかなかやらないでしょうね。
稲富 甲類というのは、ほんとうはニュートラルスピリッツなんですよね。
−ニュートラルスピリッツ自身がこれだけのマーケットを持ってる国は、他にもありますか。
鮫島 ないでしょう。ニュートラルスピリッツをそのまま飲んでる国が、まずないでしょうね。白樺の炭を通したら、ウオッカになるという話はありましたが。
稲富 EUやアメリカの定義では「ニュートラルスピリッツとウオッカ」は同じです。炭は、それも白樺の炭とは規定していませんが、通してもよいが、通しなさい、とは言っていません。定義上はニュートラルスピリッツでもウオッカになります。
鮫島 ウオッカを造るのに白樺炭を通す必要があるのは日本だけでしょうか。
稲富 日本だけでしょう。世界中で売られているウオッカのなかには、炭による濾過をしていないものも相当あるようです。

ブレンド焼酎の可能性
−酒税法があるので難しい話になると思いますが、ウイスキーのモルトと麦焼酎を混ぜたお酒などは、商品としての可能性はないのでしょうか。たとえば、ウイスキーモルト二〇%、麦焼酎八〇%と表示されているような。
稲富 商品は何なんですかね(笑)。
−ウイスキーフレーバーの麦焼酎(笑)。それこそまさにジャパニーズウイスキーではないかと。製造免許などの問題があるので、たぶんそういう取り組みはされていないと思いますが、単純に飲み手の想像で言うとそういうことがあってもおもしろい。焼酎のなかでは、たとえば芋と米を混ぜるというのはありませんか。
鮫島 ありえますよ、いまはありませんけど。麦と米をブレンドしたものは、一部あります。
−麦焼酎の場合、大分は麦、麦麹と表示されていて、壱岐は麦、米麹ですね。他のところはどうなのでしょう。
鮫島 昔は米、麦麹でしたが、いまはほとんど麦、麦麹です。常圧蒸留でやると、米麹のほうがいいのができるんですよ。麦麹だと造りにくいし、常圧の場合個性が出過ぎる。しかし、麦・麦麹というのが、なんとなくイメージがよさそうなところがあるからでしょう。それに、麦は米より安いし、匂いはあとで取ることができるので、コストの安いほうにいったというのがほんとうの理由でしょう。
−麦焼酎でおもしろいなと思ったのは、壱岐の場合は比率が決まっていますね。この米麹一に対して麦が二という比率は、他の地域では異なるのですか。
鮫島 やはり、一対二が基準になっています。麹を少なくして掛けのほうを多くしたほうが、作業性が上がりコストは下がります。麹を作るのには手間ひまがかかりますし、デンプンも消費されますからね。あとは、それぞれのメーカーで、酒質とのかねあいになってきます。酒質については、常圧か減圧かという違いも大きいです。
稲富 減圧にすると個性がなくなりますよね。蔵や原料が違っても非常に似てしまうという印象を、私は受けています。

<<前頁へ      次頁へ>>