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国際化時代の日本酒
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素材としての醤油
 ステーキですと和風はポンス醤油と大根おろしや胡麻だれで食べますが、私のところでは、醤油に木いちごや柑橘類(オレンジ)、 ももやイチヂク等を合わせて新しい感覚の照り醤油を作ります。これでステーキを食べると彼らは感激します。キッコーマンの広報部 長も「キッコーマンの味がこんなに変わるのか」と驚いていました。アメリカのニューヨークの新聞にビーフステーキ・ブルーベリー ソースが紹介されました。
 外国へ行った時はみりんは現地の方が手に入れにくいので、代わりにスィートシェリーをよく使いますが、このごろは蜂蜜を使いま す。醤油と蜂蜜を合わせて使いますと、外国の方は醤油を非常においしく感じます。レモンやオレンジの果汁を少ししのばせます。フ ランスの方が来られた時に、そのソースにシナモンやローリエ、ニンニクで香をつけ、牛のすね肉とプルーンの煮物を作りましたら、 マキシムの鴨のオレンジソースよりこのソースの方がおいしいと好評でした。フランスでは料理に醤油を使いたがりません。彼らは醤 油に蜂蜜を合わせることと醤油の味の変化に驚いていました。アメリカでは醤油を「キッコーマンしましょう」と言ってフレーバーと して使います。アイスクリームにも醤油をかけます。それは醤油の中にバニラの香が含まれるためおいしく感じるのです。
 今、日本料理でもチーズやフォアグラを使いだしました。クリームチーズと味噌を合わせて魚に乗せてオーブンで焼くと、とてもお いしい。あるいはマヨネーズ味のポテトサラダを白身の魚に乗せてオーブンで焼きます。今まで日本酒には油っ気、チーズが合わない と言っていましたが、和風に使うと日本酒にもフイットします。

嫌われる、強すぎる旨み
 どこの人も嫌がるのは味噌汁です。それから茶の玉露も嫌がります。大和の慈光院にカリフォルニア大学の学生三〇人が来て二泊三 日した時、玉露を出したところ誰も飲みません。海藻の匂いがするのと旨みが強すぎて気持ちが悪いと言いました。そのことを大阪大 学の先生に話すと、「よいお茶は磯の匂いがする。だから海苔屋の隣にお茶屋がある。お茶屋が海苔を売る」と説明してくれました。
 ほうじ茶を出しますと紅茶の感覚で砂糖をくれと言いました。味噌汁を飲む時はちょっとトイレの匂いがすると鼻をつまみました。 彼らが嫌う味噌汁を作る時にだし汁に牛乳をブレンドし、カレー粉やバターを仕上げに入れます。あさりの味噌汁の時は荒挽き黒コシ ョーを仕上げに振ってやると、とてもおいしいと言います。ベーコンとタマネギとジャガ芋の味噌汁も喜びました。

日本の家庭料理は国際化するか
 新感覚の和風料理を、私は「新鮮和風」と言っています。今、アメリカではノンオイルドレッシングがはやっています。その元祖は 日本です。日本のソース類は全てノンオイルです。煮物のだし、調味料を含めてノンオイルで油に頼らない文化です。土佐酢とか三杯 酢で和え物を出す時に、オイルをほんの少々落すとサラダがヘルシーでおいしいと言ったフランスの女性学者がいました。
 切干大根の煮物は今の日本の子供も喜びませんが、この切干大根に手羽先を組み、醤油、みりんとケチャップ、トウバンジャンで味付 けをして煮るとイギリスの人にとても好評でした。学校給食でも人気があります。ひじきもそうするとよいでしょう。
 外国の人には日本料理は合わないだろうというイメージがありますが、新しい感覚のもの、普通日本人が家庭で作っているようなも のを出してあげれば彼らは喜んで食べます。ですから、私は外国で日本料理を紹介する時は料理屋の料理を絶対しません。家庭料理 を紹介します。クウェートで大ヒットしたのが炊き込みご飯、ジャパニーズピラフです。
 原則として、現地の道具を使って現地にある材料で日本料理を作るというのが私の主旨です。鶏、トウモロコシ、人参、マッシュル ームと米を醤油味で炊いたら皆さんがおいしいと言いました。東南アジアでは刺身をちょっと恐がりますが、鰹のたたきを目の前で料 理して出すと安心して食べます。東南アジアは水が恐いですからミネラルウォーターを用意して、氷もミネラルウォーターで作って料 理します。火であぶったり、フライパンで焼目をつける、あるいは熱湯をくぐらせてやったりしますとストレートなものより安心して 食べます。白身の魚の場合は、醤油のストレートより、酢をべースにしたソースにしたり、ちょっとオイルを入れてサラダ感覚で出すと おいしいと言います。外国の魚は日本の魚に比べて脂肪がのってないので、ソースに油を少量入れると抵抗がなくなります。
 そういった形で料理を出すと日本料理はおいしいと言います。高級な日本料理はなかなか世界的にはならないけれども、日本の家庭 料理は各国の料理が融合し、新しい形に生まれ変わっていますから、世界に通じる料理になると思います。それと酒をうまくセットに できないものでしょうか。ただ日本酒は今ま でのタイプでいきますと、旨みを強調し過ぎているように思います。この頃はフルーティな香のものも出てはいますが。
 私が長い間叫んできたのは、もうちょっと酸味を持った日本酒が欲しいということです。 そうしますと、肉類や油っ気の多い料理にフィットすると思います。今の食事は肉類と油脂物が中心ですから、時代性を持たないと消 えてゆく恐れがあります。そして食前酒的ではなく、ワインのような食事酒、ブランデーやウイスキーのような食後酒も欲しいと思い ます。
 以上、体験的な日本料理論でした。外人さんとお付き合いする中で生み出したり、改めたりした話でございました。

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