時代や文化とリンクしたお酒に関する旬の情報サイト
酒文化研究所ホームページ
会社概要酒文化の会メールマガジンContact UsTOP
イベント情報酒と文化コラム酒文研おすすめのお店酒文化論稿集酒飲みのミカタ特ダネ
海外の酒めぐり日本各地の酒文化見学できる工場・ミュージアム酒のデータボックスアジア酒街道を行くリンク集

 
<論稿集トップへ

アメリカの日本食ブームとサケ

グローバル化時代の清酒原料調達システム

戦前期朝鮮半島における邦人酒造業の地域的展開と特質

メード・イン・ジャパンの酒の魅力づくり

台湾で広がる吟醸酒

日本酒の国際化

国際化時代の日本酒
酒論稿集
日本の酒の国際化
台湾で広がる吟醸酒
売場と料飲店のサービスレベル
 台湾での日本酒の上級品の普及を現地で見てきた宇佐美喜昭さん(国際交流協会)は、「日本に関心を持つ台湾人に日本酒の上級品 に関心を持つ人が確実に増えていますが、供給する側の知識不足が気になります。日本酒の上級品はデリケートですし、食事との組み 合わせなど文化パッケージにして提案していかないと定着が難しい。もともと台湾では蒸留酒がよく飲まれていますから、本格焼酎の ほうが受け入れやすい土壌です。すでに『芋焼酎がいい』というような日本通があちこちに出ています。そのなかで日本酒の上級品が しっかり定着し、華人のネットワークにのって世界に広げていくためには、かっこいい日本の文化スタイルという認知を高めることが 欠かせないと思います」と言います。
 実際、日本酒を販売している売場に足を運んでみました。台北市内の繁華街にある高級スーパーマーケットでは、冷蔵庫で管理され ている日本酒もありました。価格は日本の小売価格の二〜三倍でしょうか。五〇%近い関税や日本からの物流コストなどを考えると仕 方のないところでしょう。ただ、この売場のようにしっかり品質管理ができる売場は例外 のようです。台湾には日本のコンビニエンスストアの主要チェーンがみな進出しています が、そこに並ぶ日本酒でも高級品は、店ざらしにされて褐色になっていました。たしかに流通と料飲店でのサービス方法の指導は大き な課題です。

メニューの工夫と事前の研修
 今回の日本酒フェアのフォルモサ・リージェントホテル側の担当者は齊藤力さん。日本酒の上級品との接点はおよそ五年前、地方清 酒メーカーの有志が台湾で上級品の試飲会を開催した時と言います。この試飲会は日本で『酒販店経営』という専門誌を発行し、編集 長も務める小島稔さんがリードしてきたもの。今回の日本酒フェアに参加した蔵元は、みなこのグループのメンバーです。
 五年越しの地道な啓蒙活動があってこそ実現した日本酒フェアですが、さすがに周到な準備がなされていました。
 まず、検討されたのは食中酒という概念が薄い台湾で、どのように日本酒を食事に組み込まれたものとして提案するかということで す。しかもお客様に直接サービスするホテル側に、日本酒の専門知識を持った人はいません。そこで考え出されたのが「料理一品に酒  一品をペアで提供する」という提供方法です。料理とグラス一杯の酒が同時に運ばれ、前菜からデザートまでコース料理として一〇の料 理と日本酒が楽しめます。料理は和食をベースにした創作料理です。これでディナーで五〇〇〇円強という価格は、日本では考えられ ません。提供する酒は基本的に冷やして出します。従来のレギュラークラスの日本酒が燗と一対のものとして認知されていますから、 それらとは違うものだということを飲み方でも示します。これは日本国内での展開をなぞったものと言えましょう。
 フェアの開催前日には地元のマスコミを集めて記者発表が大々的におこなわれました。説明の後に、実際に料理をひととおり体験し てもらうという熱の入れよう。蔵元も記者の席に混じって、日本酒や自社商品の説明に当たります。そして、フェアのメイン会場とな るラウンジには、日本から送り込んだ薦樽が高く積み上げられました。
 特筆しなければならないのは、ホテルのサービス担当者たちの研修です。日本から日本酒のサービスに精通する的場勝さん(ホテル グランヴィア広島シェフ・ソムリエ)を招聘し、日本酒の味のタイプと料理と合わせるポイントを半日かけて学ばせます。直接お客様 と接するうえ、歩合制を取り入れた給与体系というだけあって、七〇名の参加者は真剣そのもの、熱心にメモを取り、ひとつひとつお 酒を確かめていきます。

<<前頁へ      次頁へ>>