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アメリカの日本食ブームとサケ

グローバル化時代の清酒原料調達システム

戦前期朝鮮半島における邦人酒造業の地域的展開と特質

メード・イン・ジャパンの酒の魅力づくり

台湾で広がる吟醸酒

日本酒の国際化

国際化時代の日本酒
酒論稿集
日本の酒の国際化
メード・イン・ジャパンの酒の魅力づくり
観光資源としての日本の酒
 海外から日本に来る観光客に対して日本の酒が意図的にアプローチを強化するのは、たいへん重要なことです。何も海外に出かけて いって試飲会をやることだけが普及活動ではありません。北国に雪を見にきた台湾からの旅行者に、伝統的な酒蔵で清酒を味わっても らうことはとてもドラマチックなことです。九州の温泉に遊びにきた韓国からの旅行者には、麦や芋や粕取りの焼酎工場を訪ねてもら いたいものです。京都を訪れた欧米からの旅行者には伏見や山崎で清酒やウイスキーを味わっていただきたい。先進的な日本の姿を学 びたいと思ってきた人にはトヨタの工場だけではなくて、最新鋭のビール工場を見てもらいたい。
 すでに、一般の見学者を受け入れる体制が整っている酒造工場はたくさんあります。英語やハングルの案内をつくり、日本の酒づく りのレベルの高さを間近に見ていただきましょう。外国人旅行者の情報ネットワークに入り込んで、細かな交通アクセス、見学時間、 費用、食事、宿泊など、実用的な情報を流せば集客はそれほど難しくないはずです。
 先日、高知市内のユースホステルに宿泊しました。経営者は元酒販店主で清酒メーカーに技術者として勤務していた方です。この夏 に「ユースホステル高知 酒の国共和国」をオープンしました。ご主人は宿泊する若者や外国人旅行者の希望に応じて「A酒教室」を開いたり、見学できる蔵元を紹介したり、酒 づくりや酒器づくりの体験ワークショップを開催しています。なかなか好評で、お土産に清酒を購入していく方が多いそうです。この 方の活動は後日、あらためて本誌でご紹介しましょう。
 さて、ここで言いたいことは、観光立国構想を酒類業界が全力で推進していくことです。これはメード・イン・ジャパンの酒の海外展 開に、たいへん有効なプロモーションになると思います。

クールなジャパン
 海外進出が絶好機であると申し上げた三つ目の理由は、ジャパニーズ・クール(ジャパニーズ・エレガンスというのもあります)の 潮流が若者を中心に盛り上がっているからです。日本のアニメやゲームソフトが世界中で愛され、高く評価されていることはご存知だ と思います。日本の映画やテレビ番組も海外で評判になったものも少なくありません。これらのサブカルチャーに触れて育った世代が 大人になり、いよいよ本格的な消費者として存在感を増してきました。彼らは日本はカッコいいものという意識が強く、だから、フォ ードとホンダのどちらの車を買うか迷った時には、日本製はカッコいいという理由でホンダを選ぶと言われます。一〇月に開催された トヨタ・ワールド・コンベンションでは、同社の技術担当副社長の斉藤明彦氏が「日本が古来から持ち、世界が認める良さを、技術や デザインに反映してどんどん発信していく」とスピーチしたと報じられました。
 日本的なものがカッコいいものとして受け入れられ、広く普及していく。日本人が文化的な違いがあり難しいと思っている壁を、現 実は軽々と飛び越えて行っています。生で魚を食べない欧米人には受け入れられないはずの寿司が、回転寿司になって世界中に広がり ました。寿司は、世界が認めるうまいものになりました。寿司には日本の酒という動機づけをもっと上手に活用するだけで、日本の酒 の評価は確実に上がり、飲み手が飲用シーンを勝手に広げていきます。

チューハイとスーパーフラット

 ニューヨークのクリスティーズのオークションで、マンガのキャラクターのような村上隆氏のフィギア作品が五六万七五〇〇ドル (六〇〇〇万円を軽く超えます)で落札されました。ジャパニーズ・クールの話題では必ず出てくるエピソードです。村上氏は東京藝 術大学で日本画を学んだあと(こういうと酒業界の人も「んっ!」と思うでしょう。彼の作品だけ見たら「なんだよこれ」って言うん ですけど)、アートの大衆化を志向してポップでオタクな作品を発表してきました。彼はルイ・ヴィトンからもデザインを依頼された まさに時の人ですが、彼は「日本人の幼稚くささが最高だ。『かわいい!』と言って上下をいっぺんに平面にしてしまう。スーパーフ ラットだ」という表現をします。
 既成の上下関係に関係なく並列の平面にしてしまうおもしろさをスーパーフラットと解釈すると、どうしても日本の酒のなかのチュ ーハイが引っかかってきます。「チューハイが日本の酒だ」と言うと、「日本酒こそ國酒である」なんて声が聞こえてきそうですが、 あんなに自由でフラットな酒はおそらく他にはありません。直感的にアニメを独自に発達させた日本だからできたものという感じがす るのは私だけでしょうか。無国籍な感じで、すべてフラットにしてしまうチューハイは、国際化において日本の酒の先頭を切るのでは ないかとすら思います。
 日本の伝統的な芸能や習俗、現代的な文化や都市、美しい国土と景色、上質な食材とおいしい料理など、なかなか他では真似のでき ない文化の総合力。いまはメード・イン・ジャパンの酒を世界にアピールしていける、非常にいいタイミングなのです。

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