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トマトとカゴメの関係
 カゴメは日本最大のトマトジュースメーカーであり、国内シェアの五割を握っている。
 酒米同様にトマトの場合も加工用と生食用では品種特性が異なる。日本の生産量は生食用トマトが一二〇万tに対して、加工用トマトは六万tほどである。生食用は皮が柔らかくピンク系で主にハウスで作られ、加工用は赤系で皮が固く路地栽培で作られている。このピンク系トマトがあるのは日本だけであり、その点で生食用の価格は高値を維持できている。一方で赤系トマトは世界中で作られており、内外価格差は約一〇倍という開きになっている。
 現在では国内加工用トマトの約半分をカゴメが買い入れ、残りを日本デルモンテ・長野トマト等他社で分け合っている。カゴメのトマトの取引は全量が契約栽培でおこなわれ、全収量をカゴメが引き取ることになっている。どんなに豊作であろうと品質に問題がない限りすべてを買い入れる。この契約方式については、戦前に契約栽培を始めた時にいろいろな経緯があり定まったものだという。数量のリスクをメーカーが取る代わりに購入単価はすべて年初の契約金額通りということでバランスをとっている。
 トマトジュースの工場は、原料立地型で工場は栃木と長野の二箇所にあり、トマトは長野、栃木、福島、茨城などの契約先農家一七〇〇軒から買い入れられている。農家に対しての生産指導、技術指導は徹底しており、需要期の納品スケジュールまですべてカゴメ側で決定している。というのも、トマトは、工場に入荷してから二四時間以内ですべてジュースにしなければ品質の劣化が始まるからだ。ジュースの生産期間は約一カ月半。その間に着々と納品されるためには、植え付けから途中の育成段階などを細かく管理していく必要もあるのだろう。このような品質指導については、カゴメには社内に二〇名ほどの指導員がいて実施している。
 日本の加工用トマト生産のピークは昭和五〇年代であった。カゴメの買い付け量から判断すると、現在の倍の量が作られていた。それがここまで減少したのは、トマトの輸入が自由化された結果と技術革新による。かつては、一〇〇%トマトジュースの場合は、完成時の風味や品質の点で生トマトから作らないと差があった。それが国産原料にこだわる最大の理由であった。しかし、現在では技術開発が進み冷凍の輸入原料を使用しても変わらないものが作れるようになっている。現在のカゴメでは、一〇〇%トマトジュースのうちペットボトル商品、野菜ミックスジュースについては輸入トマトを使い、缶入りのトマトジュースのみが国産となっている。このように分けている理由のひとつは、前述の品質劣化の問題もあるという。生トマトは集中的に入荷され、二四時間以内に検品を済ませてラインに乗せ、二時間で缶に詰められる。しかし、このような高速詰め口が可能なペットラインは現状ではないのだそうだ。
 輸入品が増えていくもうひとつの理由は、トマト農家の後継者問題にある。加工用トマトは生食用に比べると、栽培に手間はかからないが価格が安い。大規模化を進めない限り収入が増えないので後継者も少ないというのだ。参考までに、アメリカではカゴメが買い入れている年間三万tのトマトというのは、だいたい六軒の農家で作ってしまう量なのだそうだ。

全面の追求とブランド化
 カゴメは、トマトジュースにトレサビリティ(原料の追跡システム)を導入することは可能だと考えている。トマトが工場に入荷してから二六時間以内に製品化してしまうからだ。何日のどの時間帯はどこのトマトが使われているかを特定させるのは、準備さえしておけば可能なことだ。特に長野工場では、産地名表示についても一部商品で地元農協の要請を受けて、PBとしてそこのトマトだけを使った商品の生産もおこなっている。しかし現状では、そのことを表示しても競争上の優位性がないことと、品番が増えることからのコストアップ要因につながるので、カゴメとして取り組むという方向には進んでいない。当然ながら、○○産トマト一〇〇%使用ということがプレミアム性を産み出し高価格になるのであれば、商品開発は進められるだろう。
 それよりも昨年から取り組まれているのは、トマトのブランド表示である。


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