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アメリカの日本食ブームとサケ

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アメリカの日本食ブームとサケ
 1997年からは、ロサンゼルスを本拠としてニューヨークに支店を置くサケ・サービス・インスティテュート(SSI)が活動を開始した。
 日本で利酒師を養成する団体を運営している酒類総研が、福島県会津や二本松をはじめとする15の酒蔵に声をかけて、日本産清酒輸出機構という団体を作り、その販売担当として新たにSSIという現地法人をアメリカに作ったのだ。
 また製品をアメリカに輸出するに当たっては画期的なことを行った。全品冷蔵コンテナーで運ぶことにしたのである。それまで日本酒は常温の1般コンテナーで運ばれていた。
 しかしこれだと、夏場には最高60度にも達する時があり、また高温状態が2週間も続く。お燗して飲むならともかく、冷やで飲むお酒は、味も香りも色も変化してたまったものではない。それで通常コンテナーに比べてコストが3倍もかかる冷蔵コンテナー使用に踏み切った。
 東海岸を統括しているニューヨーク常駐のマネージャーは、「日本を出る時からそうして注意を払っているので、こちらでも酒を冷蔵庫で保管してくれないレストランや酒屋さんにはなるべく売らないようにしています」と言っている。
 マンハッタンのイースト43丁目に「酒倉」という日本レストランがある。天井まで届く大きな酒樽が2つ、インテリアの一部になっている。この店では常時200種類近い日本酒が置かれているが、そのうち50種類はSSIが入れたものだ。なおこの店の日本人の料理長もB酒師の資格を持っていて、自分で作った料理に合った日本酒を勧めている。
 SSIは日本料理とは関係ないレストランへの売り込みにも成功している。例えば中国料理とフレンチのフュージョンの「チャイナ・グリル」、同系列だがアジアとラテンのフュージョンの「アジア・デ・キューバ」、プラザホテルの「オイスターバー」、あるいは先程の「シャンテレール」などである。
 03年秋から04年秋にかけてちょうど1年間に、マンハッタンに超大型日本レストランが続々と誕生した。
 チェルシー地区に「祭り」、トライベッカ地区に「メグ」、ウエスト・ヴィレッジに「えん」、そしてミートパッキング地区の「オノ」である。いずれの店も200席から300席という客席を有するが、「祭り」などはバーラウンジだけでも50席もある。そしてそれぞれ100種類から200種類の日本酒を取り揃えているのである。「えん」や「オノ」では壁1面に1升瓶を並べてインテリアの一部としている。
 かくて「ニューヨークは空前の地酒人気」と騒がれるようになり、またこの人気に目をつけた日本航空グループはアメリカ人向けに05年春から日本各地の酒蔵を巡る「訪日酒蔵ツアー」を実施すると発表した。3年後には年間5000人を送り出すと意気込んでいる。

【プロフィール】
松本紘宇(まつもと・ひろたか)
1942年東京生まれ。東京大学卒業後、サッポロビール入社。69年退社後、NYに渡り、1975年にNY最初の寿司店を開業。現在は食文化研究家として活躍中。

月刊酒文化2005年6月

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