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特約店制度の曖昧さ
 特約店制度が揺らぎを見せ始めるのは、昭和四〇年代からです。ビール各社の特約店網が全国に張り巡らされて特約卸店間に競合が 生じたり、特約卸店並みの販売量をもつ二次卸店が出てきたり、ビールメーカーの独占や価格統制が問題化したりして、特約店制度が 十分に機能しなくなってきたのです。
 当時の様子をある大手酒類卸店の幹部は次のように言います。
「うちは昭和三〇年代にもビールは三社特約でしたけれど、サッポロを中心に売っていました。小売店もキリンとかアサヒは当然のよ うに別の卸に注文していたのです。
 しかし四〇年代後半あたりから、商品があって取引もさせていただいているのに、お得意先様が他社に注文するのを黙っているのは よろしくないということになって、キリンやアサヒにも力を入れるように変わりました。
 また、会社全体としては、大卸で伸びるという戦略をもっていました。酒は地域の商売であるうえ、免許の制約があって直販では思 うように伸びられない。一方で、市場が成熟して、全国に商品が行き渡るようになったために、地方の問屋も特約商品だけ売っていく ことに行き詰まっていました。特約商品が人気商品ならばいいのですが、あまり売れないと二次ででも人気商品を仕入れて売上を稼ぎ たいという気持ちが出てきます。メーカーも特約卸店の力が不十分で思うように売れない地域があると、有力な卸店に二次ででも好条 件を提示してなんとか市場に食い込もうとするわけですね」
 一九八五年(昭和六〇年)頃には、地方でビールの専売を建前としていた酒類卸でも、「特約店制度は有名無実化している」という 声が聞かれました。当時、中京地区の主要な酒類卸一〇社のトップにインタビューしたところ、どなたも「コンビニエンスストアのよ うに消費者側に立つ小売店が急成長している今、特約だからといってそのメーカーの商品しか売らないというわけにはいきません。同 じ地域で特約卸店どうしが激しく競合していますし、その一方で二次の商品も特約卸店と変わらない価格で入ってきます」と言いま した。この頃、酒類卸には、コンビニエンスストアチェーンを主宰し、得意先の経営強化を図るとともに囲い込んでいく戦略を採用す る動きがあり、中京地区では特に盛んに展開されていました。

成熟と規制緩和が役割分担を変えた
 特約店制度が揺らいでくる昭和四〇年頃から今日までの、販売規制や主要企業の動向を図表2にまとめました。概観すると、特約店 制度がうまく機能しなくなっていく理由を二つ見ることができます。
 ひとつは消費の成熟です。全国に特約店網が張り巡らされたところで、酒類消費の伸びが鈍化し、特約卸店間の競合が頻発するよう になり特約卸店に不満が鬱積します。一方で、徹底して消費者サイドに立つ店舗運営を進める小売業態が登場して、酒問屋がメーカーの 販売代理業的な性格を弱めざるを得なくなっていきます。双方があいまって特約卸店の仕事はメーカーの満足するものではなくなり、 メーカーは市場を直接コントロールする施策を講じます。小売店頭を管理するヘルパー制度の導入や、支店の拡充、営業担当者の増員 などです。こうした施策の導入には、メーカー間の競合激化もたいへん強く影響していますが、いずれにしろ特約卸店とメーカーの役 割分担が崩れていきます。
 もうひとつは制度変更によって発生した新たな問題に、特約店制度のメンバーが対処しきれなくなるというものです。新たな問題と は小売業の大規模化と上位集中の進行です。
 一九八九年(平成元年)の酒税法改正のあと酒量販店(ディスカウンター)が急増します。これで酒類小売業 の従来のメンバー内で淘汰再編が進みました。その後、一九九八年(平成一〇年)に酒類小売免許の需給調整上の要件が緩和され始める と、それまで酒の扱いを制限されていたスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの組織小売業の酒類販売が急増します。これ によって、既存の酒類流通業者は大変革を迫られ、小売段階では売上の奪い合いとなり、淘汰がハイペースで進んでいます。また、卸 売段階では、酒類卸が組織小売業者に篩(ふる)いにかけられるかたちで統廃合が進んでいます。彼らは、物流精度、情報システム、交渉力な ど機能面の要求レベルが高く、対応できる酒類卸が限られるのです。

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