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 では、新しい取引制度を導入した先行事例を他業界に見てみましょう。図表5は 二〇〇〇年前後におこなわれた日用雑貨メーカーの新取引制度です(前掲書より転載。一部略。詳細は同書をお読みください)。
 日本の日用雑貨メーカーのリーダー企業であるライオンは、代理店制度(特約店制度に同義)を残し、参考納価を示しながら、基本 取引条件として明文化しています。外資系のP&Gと日本リーバは、代理店制度そのものを廃止し、一定条件を満たすものとは卸・小 売りの区別なく取引する道を開いています。機能別割引として制度化されたリベートには、三社とも(1)金融・決済 (2)物流 (3)情報 システム で割引条件を定めています。
 販売代理機能に対する割引は、三社で対応が分かれていますが、ライオンは達成謝礼方式の割引を残しています。大規模な小売業者 とはメーカーが直接商談をするようになっているために、卸の販売代理機能はメーカーによって、評価が分かれているのでしょう。
 そして、注目したいのは表のいちばん下の欄にある販促金です。三社とも担当者の裁量が大きく、管理しにくかった販促金に、一定 のルールを持ち込んでいます。小売りに直接支払うかどうかの違いや、累進性のある条件になっているのかなどの違いはありますが、 一九九〇年代前半の取引制度改訂では、各社が踏み込めなかったところです。
 日用雑貨業界と酒類業界では、卸段階の上位集中度の違い、物量と商品数の違い、流通の情報化レベルの違い、購入頻度の違いなど、 相違点があります。けれども、小売段階の上位集中の進行と大規模化で、特約店制度が大きく揺らいでいたことは同じです。
 現在、キリンビールとアサヒビールが発表していることは次の四点です。
(1)希望小売価格と卸売価格廃止
(2)応量謝礼を廃止し機能謝礼に一本化(対特約卸店)
(3)特約店制度を継続(アサヒのみ言及)
(4)販促金は現状のまま(キリンのみ言及)
 詳細は近く明らかになりますが、特約卸店への制度的なリベートが機能に応じた謝礼に一本化されるのですから、その点では日用雑 貨業界の事例とそう遠くないものになるでしょう。また、注目しておきたいのはキリンビールが現状のままとした販促金について、ア サヒをはじめ他社がどこまで踏み込むのかという点です。

で動かす? 人が動かす?
 取引制度改変の基本的な方向性は、自分の仕事は自身で値付けしなさいということです。
 だから意義のある仕事をしたいですし、そのために非生産的な仕事には時間も手間も使いたくない。妨げるものは極力排除するよう に働きかけることになります。
 オープン価格制と機能割引制により、特約卸店の仕入れ価格は皆が同じ条件で決まることになります。特約卸店は裁量的に使われる 販促金の使い方も制度化して、フェアな取引が確保されることを求めるべきだと思います。
 また、小売店は卸店に同様のことを求めるべきです。そうしなければ、あちこちから聞こえる、「勝負すらさせてもらえない」とい う恨みを帯びた声がますます積み重なっていきます。
 自らの裁量で使える販促金を残すことで、誰が満足するのでしょうか。販促金を握っている営業担当者ですか? 支店長ですか? もし、カネを握っていることに権力を感じているのであれば、その人はそのポストを離れた時、あるいは会社を離れた時、仕事を通じ て培ってきた人をすべて失います。
 世の中がカネで動くのは事実です。けれども、カネの駆け引きに終始する仕事がどんな価値を産むのでしょうか。それよりも、知恵 を絞り、手足を動かし、多くの人々と共感しながら仕事を進めていくほうが、社会に貢献し、個人としては人生の充実をみるはずです。 酒の商売をおもしろくするというのは、結局、こういうことなのだと思います。

月刊酒文化 2004年 7月

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