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サトウキビの蒸溜酒
−10年前には、ラムの文献はほとんど日本になかったのではないかと思いますが、どのように勉強していかれたんですか。
海老沢 ラムの原料のサトウキビからアプローチしました。どこで作られているのかを調べてみると、カリブ海地域だけでなくブラジル、東南アジア、中国などたいへん広い地域で栽培されていました。日本では沖縄・奄美・小笠原などにあります。海抜が0メートルに近く、日光がふんだんにあるところがいいそうです。
 ラムの成立については諸説あってはっきりしないのですが、私は一般に言われる「コロンブスが西インド諸島を発見してから、ラムができた」という説よりも古く遡れると考えています。アメリカのサトウキビはコロンブスが西インド諸島に移植したのが最初とされますが、いろいろ調べていくうちに、「サトウキビから造った酒が、実はコロンブスよりずいぶん前からスペインにあったのではないか」と思えてきたのです。スペインの歴史の専門家に話を聞いてみると、アンダルシアでサトウキビが5世紀頃から作られていたらしいという話まで出てきた。スペインは中世に蒸溜技術をもつイスラーム圏に組み込まれていましたから、サトウキビを原料に蒸溜酒を造った可能性がないとは言い切れません。
 もっとも、今日のラムの原形が16世紀から19世紀初頭まで盛んにおこなわれた奴隷貿易のなかで固まって、各地に広がっていったのは確かだと思います。奴隷を管理する支配層が、自分たちが飲む酒を、容易に入手できるサトウキビを使って造らせたのでしょう。それが奴隷にも飲まれるようになっていって、自分たちの酒も造り始める。きつい肉体労働を強いられる奴隷たちにとって、ラムは疲れを忘れさせてくれる数少ない楽しみだったはずです。
 こんなふうに答えのないものを、ヒントを頼りに、パズルを解くように探っていく。そんな感覚が好きなのです。

一芸秀でたキャラクター
−ラムの魅力って何でしょう。
海老沢 ひとことで言うと「粗悪品から極上品までバラエティが豊かで、しかもどこかチグハグで愛嬌があるところ」でしょうか。絶品の酒なのに逆さまにすると酒が漏れてきたり、10人のうち9人はおいしいと思わないだろうけれども、1人ははまってしまうような酒を平気で発売したりしています。シングルモルトも個性豊かですが、マジメでカチッとした印象が強い。ひとつひとつのキャラクターが立っているんですよね、ラムは。いつもびしっとしている優等生から、一芸に秀でたもの、非常に個性的なものまである。それがかわいいし、おもしろさかな。
−私も、先日ベトナムでおもしろいラムを見つけたので買って帰ったところ、スーツケースの中で酒が漏れてしまって、しばらく着替えやノートからラムが香っていました(笑)。
海老沢 先ほども話したように、ラムは労働者とともに育ってきた。それを大量生産する会社が出てきて、輸出するようになり、ダイキリやキューバリバー(いずれもラムベースのカクテル)などの飲み方とともに世界に広がっていきます。この大量生産された飲みやすいラムこそ、人々に広くラムを知らしめる重要な役割を果たしたわけで、日本にもその広がった裾野のうえに個性的なラムを楽しむ土壌ができてきています。
−今は、世界的に見ても珍しいものや最高品質のラムが入ってきているようですね。
海老沢 1997年に独立して、この店を開く時、特色として得意なラムとバーボンの店にしたのですが、ラムは取り扱っている小売店が無くて仕入れがたいへんでした。
 大きい酒屋は手当たり次第に探しましたし、群馬や小田原など地方都市へ行き当たりばったりに出かけて行ったりもしました。駅の電話帳で「酒屋」のページを調べて、片っ端から訪ねてみたり・・・・・・。店や倉庫に眠っている古いラムを探すんです。ラムのようなマイナーな酒は輸入業者の扱い品目が頻繁に変わるので、時間を遡っていくといろいろな商品に出会えるんです。今思えば、あの時にスコッチやシングルモルトの古い物を買っておけば儲かったなって思います(笑)。
 最近はラムの品揃えが充実した酒屋や輸入業者があるので仕入れは楽ですね。特にシングルモルトのボトラーズもの(瓶詰め業者が蒸溜所から樽でウイスキーを購入し、独自に瓶詰めして販売する商品)を扱っている輸入業者は熱心です。また、どうしても欲しいけど日本に入っていないものは、インターネットで海外から仕入れることも容易です。
−インターネットでは随分仕入れているのですか。
海老沢 いえ、ほんとうに日本で手に入らないものだけです。

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