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日本酒の味の客観的評価
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 味を定量化しようという場合、どうしても安定な基準液、標準液が必要となってくる。日本酒の味を測るのに、ある日本酒を基準とするのでは、必ずしも、いつも信頼できる味のものさしを提供できるとは限らない。
 そこで標準となる基準液を過去の報告にならい、試行錯誤でつくり上げた。組成は次のようになった(1リットル当たり):ブドウ糖20.0グラム、水飴5.55グラム、コハク酸0.50グラム、コハク酸ナトリウム0.22グラム、グルタミン酸ナトリウム0.22グラム、グリシン0.11グラム、アラニン0.11グラム、塩化ナトリウム 0.15グラム、リン酸2水素カリウム 0.06グラム、リン酸水素カルシウム 0.06グラム、チロソール2.0グラム、エタノール150ミリリットル。
 日本酒として次のものを用意した:(1)花の露(良撰)、(2)花の露(吟醸)、(3)喜久玉の井(佳撰)、(4)梅錦 秋おこし、(5)酔心 生吟醸、(6)白露 本醸造、(7)月桂冠(上撰)、(8)銀盤 生吟醸、(9)鶴姫 吟醸(特撰)、(10)白鶴 生酒(特撰)、(11)千代乃春 生貯蔵酒、(12)白鶴(上撰)、(13)白鶴 生貯蔵酒(上撰)。
 日本酒の甘辛度と濃淡度については、糖度と酸度を用いた式が提案されている。大ざっぱにいうと、甘辛は糖度と酸度の差で、濃淡は両者の和で与えられる。糖度が高く酸度が低いと、甘口のお酒となる。
 さて、味覚センサーを用いて酸度の計測は行えるものの、糖度については味覚センサーは不得手である。日本酒の場合は糖度にブドウ糖が最もきくことから、糖度を測るのにブドウ糖センサーを用いることとした。そこで、日本酒の味を数値化するのに、コハク酸とブドウ糖の濃度をシステマティックに変えて、味の座標軸の設定をまず行った。酸度の尺度を得るのにコハク酸を、糖度の尺度を得るのにブドウ糖を用いるわけである。

 13銘柄の日本酒を味覚センサーとブドウ糖センサーで測った結果を図表2に示す。横軸はセンサー出力(ミリボルト)で表しているが、もちろんコハク酸の濃度で表すことも可能である。日本酒には酸度に寄与する他の成分も含まれている。したがって、この場合の横軸は、酸度をコハク酸の濃度で等価的に表したものといえる。
 甘辛度と濃淡度は、糖度と酸度で表せることから、図の右上領域は甘くて濃い味、右下領域は辛口で濃い味といえる。図表2はセンサーを使った、客観的尺度を持つ日本酒の味の地図(テイストマップ)である。
味覚マップ

エタノールセンサーの開発
 味覚センサーは日本酒中のエタノール濃度にも応答し、簡便なエタノールセンサーとして使うことも可能である。味覚センサーの最大の長所はサンプルをそのまま計測することが可能である点である。事実、ろ過などの操作なしにエタノール濃度を測ることができる。このようなポータブルセンサーの普及には、今の複数のチャンネル(受容膜)からなるロボットアーム駆動の固定型センサーシステムを、2チャンネル程度のコンパクトな形につくり上げることが必要であり、現在このラインを検討中である。
 試作器は、エタノールと塩素イオンに応答する2本の脂質膜電極と1本の基準電極からなる。あらかじめ試料に塩化カリウムを適量添加して測定を行うことにより、共存物質の影響を除去する。エタノール測定精度は約0.2%であり、実用レベルにあと1歩のところまで来ている。
 このような努力により、味覚センサーは「味を測る」という本来の機能から、特定の物質を測るといった簡易型モニタリングセンサーへと分化し、日本酒醸造のオンライン自動化、省力化に威力を発揮すると考えられる。
 また、味を測るという機能をもつマルチチャンネル味覚センサーと、上記のようなエタノール計測用センサーやブドウ糖センサーを、システム化およびコンパクト化したハイブリッド型バイオセンサーを構築することで、日本酒の総合的な品質評価も可能となることが期待される。

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