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銀の酒器

イギリス近世の酒器

古代ギリシアの酒器

ラインの石器と
  ひげ徳利


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酒論稿集
酒器論稿
銀の酒器
【ワインの銀器】
 欧州の酒器に、ぶどう酒に関連したのものが多いことは、言うまでもありません。その幾つかをご紹介しましょう。

【ワインクーラー】
 骨董銀器の中でも最も高価なものの一つです。普通は二個一組で、豪華な品には、ブドウ文様にバッカスや神獣などギリシア神話に題を得た見事な装飾が施されているものが見られます。氷と共にワインボトルが入るわけですから、小ぶりのものでも、直径25cm、高さ30cm程度の大きさがあります。
 18世紀初頭の純銀製の逸品ともなれば、競売で1000万円を超える価格が付くことも珍しくありません。日本ではほとんど知られていませんが、新世界を含めて西欧では、こうした骨董銀器の逸品は、極めて高額で取引されています。銀器が家系を象徴する財産であるという長い伝統が今に続いていることの反映です。
 上の写真の品は今世紀初頭の銀メッキ製で、古い時代の品を復刻して作られたものです。もしこれが18世紀の逸品であれば私も今頃は……。

【ワインレイベル】
 英国の上流貴族の屋敷では、食卓でワインやシェリー、それに男の食後酒であるポートなどを供するにあたっては、ガラスの容器(デカンター)に移してから出されるのが当り前のこととされました。実際、骨董のデカンター類には、凝った植物文様が彫り込まれていたり、見事にカットされた品が数多くあり、その多くは取っ手と注ぎ口が銀で作られているため、伝統的に骨董銀器商が扱う品物の一つとなっています。
 こうしたデカンターがサイドテーブルに並べば、一体どれに何の酒が入っているのかすぐには見分けがつきません。そこで、その中身を明示するために、こんなラベルを銀で作って、その首に掛けておいたというわけです(写真下)。
 中には非常に凝った装飾のものもあり、特に赤ワインの場合、深紅色に染まったガラスのカットと、静かな輝きをたたえる銀の組み合わせが印象的です。ラベルには、他に、ウィスキーやブランデー、ジンやマデイラなどがあり、これらを総称して、ワインレイベルと呼んでいます。

【ワインボトル・コースター】
 ボトルのままワインを供するときには、こうしたコースターが使われました。骨董銀器の世界では珍重される品物の一つです。
 上の写真の品は一見、現代の銀器のように見えますが、1900年代初頭の作品です。このように、100年程前の英国銀器の世界では、現代のモダンデザインを思い起こさせるような、斬新な意匠が生み出されました。
 これは、19世後半から胎動し始める「アーツ&クラフツ」と呼ばれる工芸運動の流れの中で生まれたものです。単なるデザインの流行ではなく、工芸品を手造りすることの重要性が叫ばれ、職人と社会の関係が思考され、一種の社会変革運動というべき複雑な背景を持つ運動でした。ジョン・ラスキンやウイリアム・モリスといった有力な先導者の影響もあって、一瞬炎のように燃え上がり、そして、あっという間に歴史の思い出として忘れ去られていきました。しかし、そこで生まれた作品の数々は、建築から家具調度、銀器に至るまで、今にこうして伝えられることにより、むしろ現代の我々の感性に訴えかけてくる不思議な魅力に満ちています。

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