酒は人類の発祥とともに人の魂と絡み合って成長してきました。うるわしい酒の文化は人間の感覚を洗練し、心身を豊かにすることができます。酒は生命の水、百薬の長といわれるゆえんです。
しかしながら酒のあり方は現在大きく変化しつつあります。人々に安らぎや喜びを与える一方、肉体や精神への悪影響も心配されています。また経済の国際化によって酒の規格の基準化や内外価格差の是正が求められ、消費の面では低アルコール化が進み、世界的な規模で消費構造の変化が起こっています。日本でも酒税法と免許取扱い要領の改正がおこなわれ酒類行政も開放化に向かって動き始めました。
こうした変化の時代には生産、販売、消費、行政など異なる立場を統合し、新たな均衡を発見する専門的な研究機関が必要と思われます。私どもは酒を人々の暮らしや営みに密着した文化としてとらえ、人と社会にとってよい酒のあり方を考え普及することを目指して酒文化研究所を設立いたしました。酒を造る人、売る人、楽しむ人、そして酒の世界のすべての人々と手を携えて豊かな酒文化をつくり出すために微力を尽くす所存でございます。(1991年9月)
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