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日本と海外の酒めぐり
永遠の田舎イタリアの酒
永遠の田舎イタリアの酒  
偶然の邂逅で甦るローマの日々
永遠の都ローマの一角にあるバチカン市国のサンピエトロ広場(写真提供イタリア政府観光局(E.N.I.T )) つい先日、いつも通勤で通りすぎている駅前の酒屋で、見覚えあるワインのボトルを目にした。ボトル下方がたっぷり膨れた特徴ある形で、一目で私がローマで常飲していた白ワインのフラスカティとわかった。チリやオーストラリア産ワインとともに木箱に無造作に入れられ、道路端に出されていた。1本850円のお徳用の安ワインである。「フラスカティまで日本で気楽に飲めるようになったか」という懐かしさもあって、1本買い求めた。
日本はここ数年、イタリアブームで、ありとあらゆるイタリアの食材が手に入る。昨年夏、2年余のローマ勤務を終えて帰国したとき、スーパーやデパートの食品売場の一番目立つところに溢れんばかりに並ぶイタリア食材を目にして感嘆した。 イタリア本国より値段は割高だが、パスタの種類は豊富で、私がローマで愛用していたメーカーのものもある。ワイン酢、バルサミコ酢も選択肢は多い。オリーブオイルも炒め物用からサラダ用と、ぴんからきりまで。チーズもパルメザンからモッツァレッラまで一通りのものが手に入る。
これらの食材を見ていると、今でもローマで暮らした日々にスリップする。「このメーカーのパスタはローマのあのスーパーに売っていた」「ナポリで食べたモッツァレッラ・チーズをもう一度食べたい」と、記憶が生々しく蘇るのである。フラスカティを目にしたときもそうだった。
ローマは単身赴任だったが、三度の食事には困らなかった。元々、私は「男子、厨房に入るべし」の方で、本社でデスクをしていたときは自分で弁当を作って持っていっていたくらいだから、ローマでもアパート近くの市場に食材の買い出しに出かけるのが日課だった。
ローマ市が設営するこの市場は、月曜から土曜日まで、朝早くから昼過ぎまで開いていた。

国賓歓迎晩餐会に使用されるセーブル焼の皿。ナイフ、フォークはクリストフル社製 新鮮な魚介類、肉、野菜が近郊から運ばれ、売り手の叫び声と主婦の陽気なおしゃべりが交錯し、喧噪が渦巻いていた。イタリア人の暮らしぶり、食事情がかいま見られるひとときであり、そんな中に浸りながら、「今日は何がうまそうかな」と見て回るのが好きだった。 ときにはどうやって料理していいのかわからない食材がある。
そんなときは臆せず店の人に聞いた。するとイタリア人はとくとくと説明してくれるのだった。
市場の入口に近いところに、日頃、私がワインを調達する酒屋があった。昼近く市場に行くと、すでに酒をきこしめした顔なじみの主人が私を見つけ、「セニョール・ジャポネーゼ(日本人の旦那)、ワインどうだい」とおなじみのかけ声をかけてくる。
急いでいるときはともかく、時間があるとしばし雑談に耽るのが習いだった。私にとっては格好のイタリア語の練習の場であり、こちらの知らないイタリアワイン事情を教えてもらう機会でもあった。向こうも「これ飲んでみてくれ」と新着ワインを樽からコップに注いでくれた。



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