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日本と海外の酒めぐり
スコットランド紀行
シングルモルトの旅 ボウモア蒸留所
酒造機器に見えるホスピタリティ
写真 一週間かけてできあがった麦芽は、キルン塔でピートの煙で一8時間燻し、さらに蒸溜の廃熱を利用した温風で乾燥させる。この煙の当て方で最終製品のスモーキーさが決まる。
ボウモアの標準値は、水分4%でトータルフェノール値が20〜25ppm という。ピートはアイラ島のものしか使わない。本島のものは香りが違う。上手に廃熱が利用されていることに感心するが、これは数年前に政府主導でエネルギーの再利用が推進され、多くの蒸溜所が改善に努めたためだそうだ。
乾燥した麦芽は100年も使い続けている破砕機にかけられ、温水を加えて麦汁にする。破砕は、細かく砕いたフラワー(粉)16%、荒くつぶしたグリッジ60%、皮を含むハスク24%の構成比にコントロールする。フラワーが多すぎると麦汁のろ過がうまくいかず、グリッジが多すぎると糖化率が下がってしまう。また、適度なハスクがろ過材の役目を果たす。このあとの発酵工程は、ウイスキーの味わいをもっとも大きく左右するといい、原料の処理と発酵管理はウイスキーづくりの肝なのだと工場長は力説する。実際、モルトウイスキーのフルーティーな香りやクリーム様の香りなど多くの香気成分は発酵に由来している。
写真 発酵槽はアメリカのオレゴンパイン製。ひとつひとつの槽に歴代のオーナーの名が冠されているのは楽しい。ウイスキーの発酵がビールと異なるのは、発酵前に麦汁を煮沸せずホップも加えないため、麦芽の糖化作用と酵母によるアルコール発酵が同時に進む点にある。そのプロセスによってビールよりも高いアルコールを得ることができる。清酒の並行複発酵に通じるものだ。また、木製の発酵槽は保温性が高く乳酸発酵を進めやすい。乳酸発酵をしっかり誘導したウォッシュ(若ビール)は、蒸溜時に酸が蒸溜器の銅を常にきれいにしスッキリしたウイスキーに仕上がる。
酵母を加えて四八時間。アルコール度数7%のウォッシュを発酵槽から汲み出し試飲する。この段階で、スモーキーでボディがしっかりあり、ボウモアの個性がはっきりと感じられた。
蒸溜器はスティーム加熱方式のストレートなスワンネック型。ウォッシュスティル(初溜)が二基に対してスピリットスティル(再溜)が二基あり、大きさは違うもののシェイプはよく似ている。どれも首になかほどにボウモアのシンボルであるカモメのイラストが描かれている。
写真1 発酵槽に歴代オーナーの名前を冠したり、蒸溜器にイラストを描いたりするセンスはすばらしい。これまでにさまざまな酒造工場を訪ねたが、こうした遊びはほとんど見られない。商品デザインや広告に気を使うメーカーは多いが、工場での一般客の受け入れ設備や目に触れる酒造機器の見せ方にまで注意を払うところは希だ。

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