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日本と海外の酒めぐり
悠久の「時」シルクロードの町で

悠久の「時」シルクロードの町で  
シシカバブーで始まりシシカバブーで終わる
 僕たちは早めの昼飯をとりにホテル近くの飯屋に顔を出す。ま ず注文するのは、もちろんシシカバブーだ。一串一五円。大きめの羊の肉片が四つほど刺さったやつを口にほおばる。羊の肉汁と独特の香辛料の香りが口いっぱいに広がって、「今、俺はイスラムの世界の真っただ中にいるのだ」と実感する瞬間である。
 この店をいつしか「鴨川亭」と呼ぶようになった。オアシスの天空高くそびえるポプラ並木わきの用水に板を渡し、その上に絨毯を敷いたその風情は、そう思って見れば「日本の古都」の東屋に見えないことはないからである。もっとも、我々がどっかと車座になって座る絨毯は、シルクロードの砂塵でうす汚れ、運ばれる茶碗はあちこちがかけているが……。
 日本なら就学年齢に達している男の子が、けなげにサービスをしてくれる。「おい、小学校はどうしたんだ。行かなくてもいいのか」といった無粋な考えはここでは浮かばない。
 そして、ラーメン。ここのラーメンは汁がない。注文した後でその男の子の兄貴と思われる青年が粉を打ち、のばして作ってくれる。やはり、羊の肉がのっかっている。それを食べながらビールで仕上げるのである。ビールは近くの露天で買って持ち込むのだが、アルコール度は日本の二倍以上だ。一一度から一二度。冷蔵施設がないので妙になまぬるいのだが、これがラーメンやシシカバブーに実によく合うのである。二本も飲めば結構ほろ酔いになる。それもそのはずアルコール度は日本の二倍もあるのだから。
 ホテルに帰れば、スイカとメロン、ハミウリの飽食。スイカは一個六〇円ぐらいだろうか。「李下に冠をたださず、瓜田かでんに靴を入れず」という中国の故事があるが、そのウリの畑とはこの西域地方のことを指す。植物学的にいうと、この辺りがウリやスイカ の原産地なのである。かつて楊貴妃が、早馬を飛ばさせて持ってこさせたというウリはこの地方のものである。
 ラムシャブ屋もある。終戦後の日本のように、すぐに停電してしまう薄暗い店の中で、ローソクの灯で豪快にラムを平らげるのだ。ほかに、生のにんにくをかじりながら食べる水餃子。そして、夜は再び夜店にたどりついてシシカバブーだ。


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