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いま、酒造業を創業するということ
サポーターの受け皿と交流
カーブドッチのこれまでの歩みを振り返ると、成長の原動力は支援者づくりであったことに気づく。出資者を募ったことはすでに触れたが、このほかに一般の個人が気軽に支援に参加できる受け皿が用意されているのだ。それはヴィノクラブといい、ぶどうの木一本につき一万円の協賛を募るものだ。協賛金はぶどうの苗の購入や栽培管理に使う。苗にナンバーがふられ、支援者ひとりひとりの会員番号となる。支援者には協賛の翌年から毎年口数に応じたワインが一本、10年間にわたってプレゼントされる。
また、会員には年に4〜5回、「ワインのひとりごと」(資料1)という会報誌が送られ、プレゼントワインの案内やぶどうの生育状況、苗の植付けや収穫の体験イベントが報告される。さらに、最近はワイナリーでの催事にとどまらず、東京での交流会も開催され、支援者の輪はどんどん広がっている。ワインは消費者に直接販売するものが八割と述べたが、ヴィノクラブの会員が最大の得意先である。会員を重視するのは、「去年のワインはおいしかったから買ったけれど、今年のはおいしくないから買わない」という、短期的な評価しかしない客はいらないと考えているからだ。いい農産物を得るには、長期的で継続的な取り組みしかないと言いたいのだ。そして、ヴィノクラブでそれが実現されているのは、原点に人々の共感をよぶ志があるからだろう。

満足させるべき人が明確なワイン作り
コスト高な日本でのワイン作りは高級品に特化すべきという意見がある。しかし、落さんからそうした言葉は聞かれず、「自分のワインを高く売りたいとは思う。けれども、よそのワインと比較しても意味はない」と言う。支援者に満足してもらえるワインを、ここで作ることこそが重要なのだということだろう。ターゲットが明確だから出る言葉だ。
落さんは毎日ぶどう畑に立つ。「スーツは一着しか持っていないが、作業着は何十枚もあります。創業した頃から着つづけてぼろぼろになったものも捨てられません。ワイナリーの社長はプレーイングマネージャー、畑仕事ができなくなったら引退です」と言う。6年後60歳になったら自分は引退し、会社は後進に譲るそうだ。彼が引いても志は会社に受け継がれ、カーブドッチの支柱であり続けるだろう。

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