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―メドックの仮装マラソン
次は、祭やイベントのような短期集中型の酒文化を観光資源化した例です。日本各地にあるどぶろく祭、海外ではドイツのビールの祭典オクトーバーフェストが代表的なものです。ご紹介するのはメドックマラソンです。 ボルドーの極上ワイン産地であるメドックでは毎年仮装マラソン大会が開催されます。世界中から参加者が集まりますが、マラソンコースの途中にある給水所には銘醸ワインも並びます。昨年、このレースを見学した甲斐一敏さん(酒文化の会会員)からその様子をご寄稿いただきました(下欄参照)。 日本でもこんなイベントができたらと思います。越前大野の御清水(おしょうず)(水源)をスタートして酒米の田圃を抜けて酒蔵を巡るコース、利休ゆかりの水をたどり御香水神社・伏見の酒蔵・山崎のウイスキー工場・離宮の水へと抜けるコース、丹波篠山から灘に至る灘酒コース、秋に山梨のワイナリーを巡るコースなど、想像しただけでワクワクします。

ブドウ畑を走る仮装メドックマラソン
2003年9月、ボルドーを代表する銘醸地メドックでまことに賑々しい仮装マラソン「メドック・マラソン」がおこなわれた。数えて19回。ブドウ摘み直前、太陽と大地への感謝をこめて開かれるイベントだ。仮装がおもしろければ拍手喝采ということで、なかなか凝っている。ウエディングドレスあり、海賊あり、僧侶、赤ちゃん、囚人−日本からは阪神優勝と書かれたトラ模様のはっぴも登場。
マラソンコースは、ブドウ畑に沿ってメドックの61のシャトーを巡る42・195q。出発点はポイヤック村。Ch.ラツール、Ch.ラグランジュ、Ch.ラフイット・ロッチルド、Ch.ムートン・ロッチルドなどのシャトーが給水所となっている。給水所には当然ながら水もあるが、ランナーたちのお目当てはシャトーで振舞われるワインなのだ。ワインを飲んではたしてマラソンができるのだろうか、という疑問がわく。できるというのが主催者の結論。
このマラソンは、マラソン好きの医師たちがスポーツとワインが相容れないはずがないと考え、発案したもの。それだけにマラソンへの申し込みにも、医師の診断書が必要。昨年は15000人の参加希望があって、8500人が出場した。給水所には医師が配置されるが、中間地点のCh.コスにはマッサージ要員も待機している。そして大会の翌日には医師団は会議を開き、マラソンとワインの関係を論じる(?)という。「定期的な運動が身体によいように、適量のメドックワインを日常的に飲むこともまた健康によい」というのが公式結論となっている。
参加者は世界各国からで、日本からも80人もの参加があった。仮装してワインを楽しむマラソンは、メドックあげてのボランティアによって支えられている。大会運営、給水所、ワインの提供、医師団たちが、ランナーたちを楽しませようとしていることが随所に感じられる心地よいイベントだった。ボルドーはバカンスともなるとシャトー巡りの旅人でいっぱいとなる観光地なのだが、◆参加者は思い思いに仮装してレースに参加。途中で給水ならぬ給ワイン?さらに人々をひきつけようと地域をあげて祭りをつくろうとするその心意気に頭が下がった。ちなみに優勝者には体重分のワインが渡される。
事務局は、来年はもっとおもしろくしたいとプランをとくとくと語った。この年、ボルドーは歴史的なヴィンテージとなるらしい。

(甲斐一敏)


酒蔵イベントで地域活性化―丸石醸造長館誉
◆長誉倶楽部の会員募集パンフレット。岡崎に住む方だけでなく、岡
崎に縁のある方が多数参加する 大掛かりな取り組みを取り上げてきましたが、今回の最後に小さな清酒メーカーが単独で進めてきた活動をご紹介します。 愛知県岡崎市にある丸石醸造株式会社は創業が元禄三(1690)年の歴史ある蔵元です。主力銘柄は長誉(ちょうよ)で、三河の愛酒家に親しまれてきました。同社は五年前に戦火を潜り抜けてきた古い蔵を、コンサートなどができるホールに改装し、長誉館と名づけます。そして、「『長誉』は風土を表す銘柄に、『長誉館』は文化を醸す蔵になります」と宣言。現 在、会長を務める深田正義さんがトップに就任以来、「出会い豊かに」を事業コンセプトとしてきた同社のひとつの到達点です。蔵元がこうした専用のフリースペースを持つこと自体珍しいことですが、同社を特徴づけるのは長誉の愛好家で組織する「長誉倶楽部」の活動とリンクしているところにあります。長誉倶楽部の会員数は現在約600人で、年会費5000円です。年四回、深田会長の手による会報『かもす』が届けられるほか、長誉館の利用権や、同会が年四回開催する文化イベント「ほろ酔いフォーラム(有料)」への参加資格が得られます。
ほろ酔いフォーラムのテーマは幅広く、昨年は次のようなものがおこなわれました。

春 浄瑠璃姫
夏 よさこいYOSAKOIソーラン
秋 山里
足助(あすけ)のまちづくり
冬 三河万歳と兎汁 江戸城元旦

いずれも地域活性化や岡崎ゆかりの内容で、満員御礼の大盛況。講演や演技を楽しみ、酒肴を酔を味わい、仲間とおおいに語り合う、たいへん豊かなひと時です。こうしたフォーラムのほかにもコンサートやセミナーが開催され、長誉館では毎月イベントがおこなわれています。
深田会長にこれまでの取り組みについて話していただきました。
「酒蔵は今、大変化の最中にいると思います。数百年続いてきたものが珍しくない業界ですが、途中、それまでと同じやり方では続けられない事態に何度も遭っているはずです。今は、そうした節目の時に当たっている。
酒はこの10年でだいぶ減りました。懇意にしていたお得意先もずいぶんなくなりました。設備や製造の仕組みも前のものが合わなくなります。当社のヒット商品に『ひやし甘酒』(アルコールなし)という酸味の利いた甘酒がありますが、超小規模の仕込みでいろいろな実験ができるように変えていたからできた商品です。お客様が持ち込んだ水で酒を仕込んでもらえないかと来れば、対応できるほどの小規模な醸造です。こういうのは値段ではありませんから、十分やれます。
酒造技術者を採用してこうした実験的な取り組みをしていくなかで、35年もずっと来ていただいていた杜氏さんと『そろそろ潮時かな』という感じになっていきました。従来のスタイルでの酒づくりではたいへんな知識と技量をお持ちでしたが、ごくごく小さな仕込みで次々に新しいことをやるのは、お互いにしんどいのです。
週末は蔵で酒饅頭を売ります。数量限定で売り切れ御免。1個80円のものがいつも900個完売です。それ以上は作りません。足りないくらいで、『買えるかなぁ』と思いながらわざわざ酒蔵まで買いに来るから楽しいんですから。
古い酒蔵を改装した本社屋。この奥に長誉館がある 長誉館にお客様が大勢来るようになって、社員の気持ちや動きも変わりました。人に見られるからでしょうか、きびきび動く、掃除も目が行き届くようになりました。
長誉倶楽部のイベントをやるために、企画を練って人と会う。ネットワークがどんどん広がる。そこのつなぎ目に酒がある。会員組織があるので集客の苦労が軽減されますから、思い切ったこともやれます。これを岡崎でやる。私はこの会社を岡崎の酒文化研究所だと思っています」
中小の酒蔵は大都市の高級酒市場で名をとどろかせる、そうした行き方が成功事例としてあります。そうなることで地元も自慢の種が増えると喜びました。酒蔵は価格競争に巻き込まれることなく、商品は広く流通していきます。
それとはまた別の行き方がここにあります。酒蔵を地域の交流の核に据え、密なネットワークがそれを大きく回転させていく。全国各地で観光によるまちおこしが盛んですが、丸石醸造の取り組みはその酒蔵版であるように思えます。
(長誉館/tel 0564・22・0646 http://www.014.co.jp/jigyo/joan.htm

月刊酒文化 2004年6月

●主な酒文化施設(営業時間・入場料等は事前にお問い合わせください)

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