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賀茂鶴 広島
清酒の高級ブランドはいかに作られたか
はじめに
 ブランドは企業のマーケティング活動の集大成であり、その価値を高めることの可否が企業の収益性や成長性を大きく左右する。不況下でも高級インポートブランドは好調であり、ブランドイメージの高いソニーは後発のパソコン市場でも難なく受け入れられた。酒類市場においてもワインやウイスキーの高級ブランドは根強く、清酒や焼酎乙類の一部銘柄の人気は相変わらず高い。
消費者に目をむけると、所得・資産・情報の格差が拡大すると同時に、ライフスタイルの多様化が進み、購買力のある層がこれまでとは異なったかたちで偏在し始めている。こうした中では購買力を主軸として市場を適切に細分化し、それに対するブランド展開が極めて重要になる。
 このような問題意識から、今回は酒類の高級ブランドづくりについて考えてみたい。早くから独自の価格政策をとり、高級路線を進めてきた賀茂鶴酒造(広島県)の事例をもとに検討していこう。

価格統制から自由価格へ
 昭和一四年に清酒の公定価格が実施されて以来、清酒の価格は四半世紀にわたって統制されてきた。当時の状況を故坂口謹一郎氏は次のように評している。

 (前略)現在の清酒はいわば高級酒なしの大衆酒のみの状態にあるからである。また折角高度の伝統と技術をもちながら、そのすべてを発揮しようとしないからである。戦争がすべての原因とはいわれぬが、酒をこのようにした主犯に相違ない。
これに対する不満は、戦後「青天井価格」の要請によってその第一声があげられている。
 地上の価格、すなわち最低価格の維持に対する官の統制はやむをえないが、大空の価格、つまり最高の技術をつくした酒の価格に対しては、青天井のごとき無制限をゆるすべきであるというのである。
 「米の値段が統制で一定されているのに、そのような値開きをゆるしてよいものか」という議論も出た。「同じ値段のカンヴァスと絵具を使ったからといって、筆者の絵とピカソのそれとが同価格でよいものかどうか」というのが返答であった。
(昭和四七年『文藝春秋』一?二月号/「古酒新酒」収録)

こうした状況下で、賀茂鶴酒造はいち早く価格統制から脱却し、高級路線を推進した清酒メーカーであった(図表1)。

◆図表1 賀茂鶴および清酒の小売価格の変化(戦後)

代表的小売価格(1.8L) 賀茂鶴の価格
特級 一級 特級 一級
昭和
32年
賀茂鶴が柿右衛門の壷入り清酒を発売(15000円)。1.8L特級の公定価格 1075円
1075円
835円
1075円
835円
昭和35年 公定価格が廃止され基準価格に移行。この機に灘伏見の大手銘柄が特・ 一級を基準価格より20円高で販売
1095円
855円
1095円
855円
昭和36年
業界の自主値上げが始まったが、国税庁の要請で特・一級は30円、二級 は20円アップに。基準価格との差は50〜40円
1125円
885円
1125円
885円
昭和37年
酒税法改定。従価税導入。その後、従価税特級ぞくぞく登場。賀茂鶴が金紋賀茂鶴(一級)を基準価格より70円高で新発売。広島局から値下げ 指導される
895円
640円
895円
650円
昭和38年
清酒一級基準価格廃止
940円
675円
940円
675円
昭和39年
酒類の基準価格廃止
  〃
  〃
940円
675円
昭和42年
賀茂鶴が一年越し待たされた値上げを強行。大手銘柄も追随
1050円
750円
1050円
750円
昭和45年
賀茂鶴が特等酒(特級)、上等酒(一級)を発売。実質値上げ
1250円
890円
1300円
890円
昭和47年
清酒二級のシェアが50%を切る
  〃
  〃
1300円
890円
昭和52年
賀茂鶴が特級150円、一級・二級各100円の値上げ
1900円
1430円
2000円
1450円
昭和57年 賀茂鶴は三増酒廃止に伴い特級200円、一級100円値上げ 2390円 1660円 2700円 1800円
*代表的小売価格は甲東会銘柄の価格

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