時代や文化とリンクしたお酒に関する旬の情報サイト
酒文化研究所ホームページ
会社概要酒文化の会メールマガジンContact UsTOP
イベント情報酒と文化コラム酒文研おすすめのお店酒文化論稿集酒飲みのミカタ特ダネ
海外の酒めぐり日本各地の酒文化見学できる工場・ミュージアム酒のデータボックスアジア酒街道を行くリンク集

<<酒めぐりTOPへ

過去記事一覧

焼酎を訪ねて
  九州山間地を行く


居酒屋にススメ

粕取焼酎を現代に生かす

北海道の大地で育った酒

美ら島酒紀行 メーカー編

美ら島酒紀行 飲食店編

観光資源としての
  酒文化 下


観光資源としての
  酒文化 上


南国土佐に「酒の国あり」

大信州(長野)
  「長野の酒」からはずれを
  なくす


初孫(山形)
  機械と手作りを
  融合させた新工場


阿蘇の名水生まれの酒

若鶴(富山)
  濃醇な無濾過生原酒で
  おいしさを追求


奥越前(福井)
  名水と酒米の里の酒


自分のワインを造りたい
  −各地で生まれる
  ドメーヌ型ワイナリー


美の川(新潟)
  新潟酒の個性派


山田錦のテロワール1

山田錦のテロワール2

機山ワイン(山梨)
  風土を生かした
  ワイン造りへの挑戦
日本と海外の酒めぐり

米作りに重要な土
契約農家選びのポイントとして、須藤氏は良い土地で、優秀な技術を持ち、やる気のある農家を選ぶという。優秀な技術や、やる気があるというのは誰にでも想像がつくが、良い土地とはどのような土地なのだろうか。
「まず、水の生態系と重複しますが、一度駄目になった土地は簡単には蘇りません。だから一五〜二〇年くらい前から有機栽培を行っていた農家を選びます。それから何より大切なのは、土の生まれです。つまりもとの土地は何だったかということです。どんな体質だったか。病弱なのか、健康なのかと言えばいいでしょうか」もとが沼や川の土地は、土に何が含まれているかわからないから駄目だと言う。また海や海の側の土地も塩分が多くて使えない、沼の側も駄目ということになる。埋め立てや川の流れが変わったために陸になったという場所では良い米酒造りに適した米にはならないそうだ。
「良い家具は良い材料からしか作れないのは皆さんご存じのことだと思います。材料の杉はどっちを向いていたかで値段に格段の差があるのです。つまりどんなに良い品質の杉であっても、腕の良い職人が作っても生まれでどうしようもないということなのです。米も同じですね。まず土の生まれなのですそのうえで、寒暖の差があり傾斜地で、肥沃すぎない土地がいいですね」契約農家を選定するときは、いつも元々の土地が何だったかを徹底的に調べると言う。

ロマンを米に託して、 人の影が映らない米探し
良い米で酒を仕込むと、なる程というような毛並みの良い酒ができる。米の品種、品質は酒にとってそれほど大切なものなのだ。
「酒は正直です。人が品種改良した米で造った酒には、ちゃんと人の影が映っています。つくづくそう思ったときに、人の影が映らない酒、超自然な酒を造ってみたいと思いました」それは人が品種改良していない米を使うということにほかならない。人の手が入っていない米を探していたとき、須藤氏は平城京からすでに炭化した二〇〇〇年前の米が出土したというニュースを聞いた。
「聞いた瞬間、これだと思いました。この米を植えたら、こんなものができ、こう仕込めば、こんな酒になる。もうどんどんイメージが膨らんでいきました」この米が何か、人の伝つてを頼って調べていくうちにようやく種類がわかった。今度はどこにこの米が現存しているかである。
「中国に電話をしたり、東南アジアに手紙を書いたり、ありとあらゆる方法で探しました」
そのニュースを聞いてから三年目、ようやくとある所にあることがわかり、種籾用に一五〇グラムほど分けてもらった。
「手に入れたときは心配でした。本当に二〇〇〇年前のものかわからないのですから。そこでDNA解析をしたのです。赤米や黒米のことを古代米と言いますが、それは現在の赤米・黒米と言うことで、古代のものがそのままあるということではありませんから」DNA解析の結果は、二〇〇〇年以上前のものだった。これを三年間種籾用の作付けで増やし、四年目からとうとう仕込みに入ることができたのだ。
「毎年収穫する度にDNA解析を行います。やはり他の稲の花粉の影響が心配ですから」二〇〇〇年前の、品種名もない古代米である。
「初めて植えた頃は心配でね、毎朝朝露の付く時間に田んぼに見に行きました。誰も作ったことがないデリケートな米なので、植え付けは自分の田んぼにしました」初めて絞って飲んだときの感想はと聞くと、須藤氏は目を輝かせて「朴訥とした味で、
今の吟醸酒のような華やかさはありませんが……」ここでしばらく言葉を切り、「二〇〇〇年前の水や風、光はこんな感じだったと思わせるような、超自然的な味でした」それは米として食べても素朴な味だったという。この二〇〇〇年前の米を使った酒『山川草木(さんせんそうもく)』は、現在出荷を始めて四年目を迎える。

<<前頁へ      次頁へ>>