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石川酒造では、一九九〇年に初めて社員による田植えを行った。仕掛け人は、石川専務と小山顧問(当時は製造部長)の二人である。酒造りを行う中で米がどのように作られているのかを実際に体験しようということで始められたようである。社員による稲作は、その後、公募された方々による「多満自慢を自慢する会」に引き継がれている。
米作りは、専務の母の実家である森田家から借りた田圃で行われる。縁は不思議なもので、最近、蔵の古文書を整理して判明したことには、この森田家こそが「八重菊」の醸造元であった。
「自慢する会」では、年六回会員が蔵に集まって様々なイベントを行っている。他にも、横田基地の外国人、身体障害者施設による見学、雑蔵のホールを利用してのコンサートやライブ、絵画展、陶器展など地元の方の発表の場に利用されている。地域社会と一体となった数多くの活動を続ける意義については、専務がこう語っている。
「地酒蔵にとっては、もちろん酒を造ることは最も重要ですが、コミュニティー形成の核になる役割も伝統的に担っています。これからは、この面での地域への貢献も重要だと考えています。ドイツの田舎を旅行して思ったのですが、ブルーパブを覗くと、地元の人の席があった。そこに行けば誰か顔見知りがいて、昼間から軽くビールを飲みながら、地元の情報交換の場になっている。そういう姿がすごくいいなと思いました。
また、先日、警察の懇話会で、『街の治安を維持する上で、町内会や地元住民同士のつきあいの活性化は大変効果がある。今、全国的に町内会活動が崩壊している中で当社と地元の志繁二(しもに)町内会との提携で行ったオリジナルラベルの酒造りは、地域社会の関係強化につながり、犯罪抑制にも役立っている』と言われ、なるほどと思いました」
――先ほどの「自慢する会」の内容をもう少し教えてください。
「田植え、稲刈り、酒仕込み、その酒を飲む会の四回がベースになっています。同時にきき酒会をやったり、稲刈りの時には、草鞋作り講習会をしています。今回のメンバーは、この四月二三日に中庭の八重桜の下で花見をしながら飲んで終了となります。残りの二回は『酒造り秘話』という名前で行っています。
これは、小山さんと石川農園(石川酒造の別会社。石川農園では、小麦、そば、白菜などを有機栽培で作っている)の支配人をしている菅井さん(こちらも新潟出身で元々は酒造りの頭を勤めていた)のお二人に私が聞き手を務めながら、石川酒造や酒造りについての様々なお話を聞き出すものです。
私どもでも記録に残っていない貴重なお話が多いのですが、これも大変好評です。この時の話は毎回記録に残して整理しています。昨年は、『一度小山さんたちが育った松代町を見たい』ということになって、バスを仕立てて一泊で出掛ける番外編も実施いたしました。よく考えれば、松代町はごく普通の田舎町です。しかし、小山さんの話を聞いている人にとっては、『ああここが、あの話にでてくる所』という面白味や感動があったようです。マンツーマン・マーケティングの重要性を感じさせられました。
また、現地の方にも、わざわざ来てくれたということで、大変よくしてもらいました。松代町と当社の関係で言うと、今でも杜氏さん以下みな松代出身ですし、お米も松代から買っています。そんなご縁で昨年、町役場から相談を受けて、清酒『松代城』という商品を松代町限定で発売することになりました。この商品は、造る場所こそ東京ですが、造り手も、原料米もすべて松代で行っています。町では温泉が出て町起こしを図っているので、町の特産品の一つとして売り出しています」
雑蔵の内部を改造して一階をホール、二階を資料展示にしたのも、ちょうど「多満自慢を自慢する会」の発足と重なる。これができたことも様々な交流を進めていく上では重要な要素を占めているようだ。
「そもそも会を作ったのは、単純には蔵の応援団を作りたかったからです。双方向性のあるネットワークを作るのには時間がかかるので、一回見に来ただけの人では無理です。そこで、何回も来ていただき、蔵との強い関係を持った人を少しずつでも増やしたいというのがきっかけでした。一年通して関係を作れればネットワークにすることができると考えたのです。
メンバーは一回に四〇名程度としています。大体四割くらいの人が毎年入れ替わるという感じですが、募集してみて驚いたのは、地元の方よりも遠方の人が多いということでした。遠く秋田や岩手、群馬、横浜などからみなさん来られます。女性が多いのも特徴かもしれません職業も千差万別で大変バラエティーに富んでいます。
最近では、別バージョンで『石川農園のそばを打つ会』も開いていますが、こちらも好評です。お酒も含めて食べる物は作り手の顔が見えるということが大切なんだと痛感させられました。遠く離れている生産と消費を少しでも近づけられればと思っています」

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