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梅錦 愛媛
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地ビールの成果と課題
さて、同社では最近、日本酒造りとは異なる別な事業に手を染めた。それは平成八年にオープンした「梅錦ガーデン丹原麦酒醸造所」である。
平成六年、同社は全国初の地ビール製造内免許を取得。八年に清酒の工場用地として取得していた愛媛県丹原町に、レストラン・ハーブガーデンなどを併設した地ビール醸造所を開いたのだ。
いわゆるブルワリー・パブの走りだが、じつはこの施設、他のブルワリー・パブとはちょっと違った展開を見せている。
「私たちは最近、ブルワリー・パブという呼び方をやめています。オープン以来毎年一〇 万人前後のお客様がいらっしゃいますが、ビール売上は全体の三割弱。おいしい料理と本格的なサービスを楽しみにくるお客様のほうがずっと多いんです。
そのため私たちはあくまでこの施設を『外食産業』としてとらえており、レストランとしての本物の機能を果たしたうえで、おいしいビールも楽しめる場所であることを目指しているのです」(梅錦ガーデン丹原麦酒醸造所 渡部浩久マネージャー)
もちろん、ビール自体のレベルが低いわけではない。ピルスナー、ボック、ペールエールを中心とした製品は、私見だが、完成度が高い。また、地元の特産品を使った果汁発泡酒は、アイデア倒れでアンバランスな味わいのものが多いが、ここの伊予柑スパークリングはその甘みと酸味、ホップのわずかな苦みとコクが絶妙なバランスを保っている。
だが、料理とサービスのレベルも、ビールに劣らぬほど高い。料理部門は、フランス料理をベースにした無国籍料理で有名な東京のレストランで、定期的に研修を受けているのである。東京の有名レストラン並の料理とサービスが、半値で楽しめるとなれば、それを目的にリピート客が訪れるのも無理はない。
また併設のハーブガーデンも人気で、そのなかにあるガーデンショップで扱っている輸入物のテラコッタなどは、百貨店等からも引き合いがあるほどらしい。
ただ、梅錦山川という企業全体から見ると、この丹原麦酒醸造所は、まだ十全にその役割を果たしているとは言いがたい。山川社長の言うように「一〇〇年以上育てていただいた地元への恩返し」ではあるとしても、「情報発信基地」としての役割は発展途上だ。
現在の魅力をさらに強化しつつ、酒蔵・梅錦とどう擦り合わせていくのかが今後の課題となるだろう。

「ひとりに愛される酒」
梅錦は、日本酒度がプラス五・五からマイナス五、酸度が〇・九から二・一のバラエティがある(日本酒度マイナス五〇、酸度三・五と日本酒の常識を破った性格の「四季香麗水」を除く)。味わいでいえば、淡麗甘口、淡麗辛口、濃醇辛口をカバーしており、どちらかといえば「甘め」と思われている梅錦のイメージを裏切って淡麗辛口に属するものがもっとも多い。
「うちの酒は甘くないんです。酸が少なく、口当たりがいいから甘く感じるだけ。口当たりやわらかく、きめ細かいというのが梅錦の特徴です」(山川社長)
純米酒ももちろん製造しているが、それにこだわらないというのも山川社長の信条である。日本酒の定義を純米酒に限ろうという動き自体は否定しない。糖類やアルコールを添加したものはリキュールと位置付けてもよい。しかしそれはカテゴリーの問題に過ぎないと山川社長はいう。カテゴリーの問題と、うまいまずいは別だというのだ。
実際、昭和四二年に発売され、同社の多品種化のきっかけとなった「秀逸」は、山田錦五〇%精白の大吟醸造りをしながら、あえて醸造用糖類を加え、普通酒とした。当時、鑑評会用の吟醸酒がそのまま市場に出ることはほとんどなく、多くは特級酒に混ぜて売られていたという事情もあるが、現在でも「超特撰秀逸」として同社のラインナップの重要な位置を占めていることを考えれば、これはかなり意図的なものと思ってよいだろう。
つまり、「秀逸」には若干、糖類を足したほうが、より「うまい」という判断である。一方
では、精米歩合二五%(米の七五%を糠として削ってしまった)という「媛の愛 幻味」純米大吟醸も造っており、純米を否定しているわけではない。
山川社長自身「品種をしぼった方が『銘柄が見える』」のはよく承知している。しかし、それ以上に、さまざまなうまさを追求したいという衝動が強いのだろう。
山川社長のデスクは、事務室の真ん中に置かれ多くの社員に囲まれている。そして、真ん中から発した熱が周りの社員に伝わり、多品種少量生産という困難に立ち向かわせる。
「ひとりに愛される酒を造ること。ひとりでも多くの人に味わってもらうこと」
会社案内に山川社長の言葉と して載せられている、この一見矛盾したテーゼは、確かに実現には多大な困難が伴う。だが、少なくとも現在は、その困難を軽やかにクリアしているようだ。

梅錦山川株式会社
愛媛県川之江市金田町金川14
電話 0896(58)1211
FAX 0896(58)3171
梅錦ガーデン丹原麦酒醸造所
愛媛県周桑郡丹原町大字関屋
電話 0898(58)1211
FAX 0898(73)2074
お酒の四季報(1999年夏号)

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