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ヘリオス酒造
古酒「くら」でおなじみのヘリオス酒造は
6種類の酒造免許を持つニューウェーブ泡盛メーカー

ラム酒からスタートした異色泡盛メーカー
 現在は古酒「くら」のヒットで、すっかり泡盛メーカーのイメージがあるヘリオス酒造だが、スタートがラム酒だったことは意外と知られていない。1961年、ヘリオス酒造はラム酒の製造を行なう太陽醸造として設立。創業者である松田正が数ある酒の中からラム酒を選んだのには、「将来食料難が来た時、五穀に頼らない酒が必要になってくる。幸い、沖縄には基幹作物であるさとうきびがあるのだから、それを使った酒を造ろう」という考えからだという。また、当時米軍統治下でアメリカ人向けにラム酒の需要があることを見込んだことも理由のひとつ。

6種類の酒造免許を持ち総合種類メーカーをめざす
 そして、1969年にギリシャ神話に登場する太陽神にちなんで、ヘリオス酒造へと社名を変更、ハブ酒、黒砂糖酒の製造を始める。1979年には、焼酎乙類の製造免許を取得し、泡盛の製造を開始した。1994年、酒税法改正による規制緩和で、ビールの製造免許も取得。現在では、泡盛、スピリッツ、リキュール、ウイスキー、ビール、発泡酒と、実に6種類もの酒造免許を持ち、総合酒類メーカーを標榜するユニークな酒造所だ。
 1972年に、清らかな水を求めて本社工場を水の都は名護市・許田に移転し、6000坪の敷地で生産を行なっている。位置的には許田インターの近くなので、名護のオリオンビールとからめて回るのが効率的だ。許田インターを出て左に海沿いの道をいくと、すぐに看板がある。エメラルドグリーンの海があまりにきれいなので、見とれているうちに行き過ぎてしまわないように注意。そこからは細い道になるので、ちょっと心細いが、まっすぐいくと突き当たりが工場だ。

古びた古酒蔵。実は・・・
 まずは本社事務所で、工場見学の受付。簡単な受付を済ませると、案内係の方がやってきた。工場に入ると正面に古城を思わせる貯蔵庫が。ヘリオスという洋風の社名のせいか、なんとなく西洋風の第一印象だ。これが「一の蔵」と呼ばれる古酒蔵。白い塗り壁が黒くすすけていていかにも古そうなたたずまいだ。しかし、聞いてみると、実はできてから6〜7年しか経っていないという。泡盛を貯蔵するため、黒麹がついてすぐにこのような感じなってしまうとか。その向かいに立っているいかにも新しそうな貯蔵庫「二の蔵」とは2〜3年差しかないらしい。黒麹菌の威力に感心しつつ、その隣の工場に案内された。

一度に6トンの米を処理する近代的な製造設備
 中に入るとまず、4階まで階段を上がる。工程上、上から下に処理が進んでいく構造になっている。そこにあったのは回転ドラム式自動製麹機だ。一度に3トンものタイ米を洗米・浸漬・水切り、そして蒸しまでを一気に処理する。2機で6トンを処理することができる。蒸した米を適温に冷ましてから、黒麹菌を入れて混ぜ、米麹を作る。
 次に下の階の円盤型自動製麹装置に移され、菌を繁殖させる。この装置は半径4〜5メートルの円形の部屋で、巨大な攪拌(かくはん)棒が回転しながら米麹をかき混ぜ、菌の繁殖に必要な空気を送る。これらの工程が「製麹(せいきく)」で、泡盛造りにおいて最も重要なポイントのひとつ。今ではだいぶ機械化されているが、温度管理が重要で熟練した職人が神経を尖らせている。

泡盛では唯一の銅製蒸留器
 出来上がった米麹に仕込み水と酵母を加えて、さらに下の階にあるもろみタンクに。タンクをのぞくと米と黒麹が混ざった灰色のドロドロの液体がフツフツ泡だっている。酵母の働きで発酵が進んでいるのだ。この状態で約2週間程度置いて仕込みを終える。(季節によって仕込み期間は変わる)その間、何回かの攪拌が手作業になるが、これに力がいる。
 発酵を終えた醪は蒸留工程へと移される。ヘリオス酒造では県内唯一の銅製蒸留機を使用している。赤銅色に輝く3機の蒸留機は、見た目は小型のウイスキー蒸溜器「ポットスチル」のようだ。銅製を使用する理由はまろやかな味に仕上がる効果があるためだとか。85度で蒸留して得られるアルコール度数の平均値は44度。ちなみにお米6トンから、泡盛が約6000リットルの原酒が生産され、貯蔵庫で熟成させる。

原酒たちが樽で眠る「一の蔵」
 次に案内されたのが貯蔵庫の「一の蔵」。1991年に誕生した泡盛、古酒「くら」は、ラム酒造りでスタートした樽熟成技術とブレンド技術を生かした製品だ。泡盛は通常、甕またはタンクで一定期間貯蔵されるが、ヘリオス酒造のヒット商品「くら」は樽貯蔵が特徴。15年の研究により、カナダ産の樫樽の貯蔵による泡盛を完成させた。その原酒が眠るのがこの「一の蔵」だ。中に入るとひんやりとした空気で、甘いアルコールの香りが鼻をつく。樽に一定期間保存することにより樽の色と香りが原酒に移り、独特の琥珀色とまろやかでなめらかな口当たりになる。
 蔵の中はこの樽が整然と並び、まるでウイスキーの貯蔵庫のようだ。一度使用した樽の内部をバーナーで焼いて再生し、再使用するところもウイスキーと同じ手法。伝統にとらわれない自由な発想が、ヒット商品を生んでいるのだと感心させられる。
 見学工程の最後には貯蔵庫の灯りを消して、白い壁面に製造工程などのビデオが写される。ビデオは、社長自らのおしゃれなメッセージで締めくくられる。
「社長である私も蔵番の機嫌を損ねると、おいしい酒にはありつけません。今日の蔵番の機嫌がよければ、みなさんもとっておきの古酒を試飲できるでしょう」
 蔵番とは本日案内していただいた係の方なのだが、「試飲用の古酒が移動中で、今日は申し訳ありませんが、試飲いただけません」とのこと。蔵番のご機嫌を損ねてしまったのだろうか。社長のメッセージに期待していただけに我々はがっかり。

ハブ酒「うるま」で元気を回復し、試飲の酔いをうっちん茶でさます
 しかし、見学が終わると事務所の横にある商品展示コーナーで、さまざまな酒を試飲させていただいた。まず、目にとまったのはハブ酒の「うるま」。ハブ酒を飲んだことのある人は少ないかもしれないが、ハブ酒といえばこのパッケージを見たことのある人は多いのではないか。私も「うるま」という名前には記憶があったし、空港やおみやげ物屋でもよく目にする。この「うるま」を製造しているのがヘリオス酒造なのだ。で、ハブ酒というとハブを泡盛に漬け込んだものと思っていたが、この「うるま」はラム酒がベース。ラム酒がハブのくさみを抑えるということだが、試飲させていただくと確かに飲みやすい。元気になった気がしたのは気のせいだろうか。
 もちろん、「くら」や「くらスーパーセレクション」などの泡盛も試飲させていただき、これも同社の製品である缶入りのうっちん茶「原種うこん茶」と、那覇にある直営店の「ビール1杯無料券」をおみやげとしていただいた。試飲で飲みすぎたので、うっちん茶は酔い覚ましにその場でごちそうになった。

近くの琉球料理店にはヘリオス酒造のビールと発泡酒がおいてあった。
「青い海と空のビール」(左)
白生(バイツェン)タイプの大麦に小麦を加えたフルーティなビール。
「ゴーヤーDRY」(右)
太陽をいっぱい浴びた沖縄産ゴーヤーを使った、まったく新しい発泡酒。 ホップとゴーヤーの苦味のマッチング。

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