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比嘉酒造
さまざまな歴史がつくり上げた酒、泡盛を見て楽しむ

見せる泡盛工場
 500年以上もの歴史を持ち、世界に誇る銘酒である泡盛。近年の泡盛ブーム、古酒ブームは、泡盛がこれまでの不遇の時代に反発するかのように、大きく開花させた見事な花といえるだろう。沖縄の風土、そして人々の生活とともに、生き続けた泡盛。この泡盛の歴史をひとつの文化としてとらえ、紹介しようという酒造所がある。それが本島の最南端糸満市に工場を構える比嘉酒造だ。
 合資会社比嘉酒造は明治16年、泡盛の都、首里で創業。100周年を迎えた平成3年、糸満市に移転した。我々が訪ねたのはこの新工場。3000坪の敷地に、貯蔵タンクが整然と並ぶ近代的な外観。門をくぐると貯蔵のための大きな甕がたくさん並べられ、泡盛の酒造所としての雰囲気をかもし出している。この工場のキャッチコピーは「見せる泡盛工場」。その名も「泡盛まさひろギャラリー」だ。
 “まさひろ”というのは、先代当主の名で、戦後の復興の中、銘柄に自分の名前を冠したこだわりの酒「まさひろ」をつくり上げた。この酒は広く親しまれ、親しみをこめて工場までも「まさひろ」と呼ばれたという。新工場はその「まさひろ」の名前を正式に取り入れるだけではなく、泡盛を紹介し見せるという意味を込めて「泡盛まさひろギャラリー」と命名されている。

泡盛の歴史と作り方をお勉強
 「泡盛まさひろギャラリー」の玄関を入ると、まず明るくゆったりとしたゲストホールがある。見学の申し込みをすると、女性のコンパニオンが説明しながら、案内してくれる。
 見学コースに沿って進んでいくと、まず、原料の説明コーナー。タイ米や黒麹、泡盛の製造工程などが分かりやすく展示されている。いままで見学した他の泡盛工場よりも、展示に力を入れていることが伝わってくる。
 そして、昔の蒸留器、こうじ棚、もろみ甕をはじめ、500年前の酒甕や戦前、戦後の泡盛造りの写真展示などが並んでいる。今も酒造りは大変なのだろうけど、昔は“本当に”大変だった。そして、いかに熟練した職人の勘に頼っていたかがわかる。

ボトルの変遷に泡盛不遇の時代を知る
 そして、次に案内されたのは有名な泡盛コレクターの座間味宗徳氏のギャラリーだ。氏が30余年の月日をかけて収集した数百点にのぼる泡盛やそれにまつわる資料を一堂にディスプレイしてある。その中でもとくに目を引いたのはボトルコレクションだ。
 現在、泡盛はさまざま色のきれいな化粧ボトルに入っているが、これは最近のこと。それまで泡盛といえば、透明の何の変哲もない3合瓶が主流だった。ほとんどの銘柄が同じ瓶で、リターナルボトルとしてそれを使用していた。しかし、終戦直後、ようやく泡盛が産業として復興しはじめるころは、物資不足でこれら瓶もなく、もちろん瓶の製造能力もなかったために、米軍の持ち込んだビール瓶やウイスキーのビン、サイダーのビンを集めて、手作業で泡盛を詰めラベルを貼り販売していた。
 面白いのはスキットル型のウイスキーのポケット瓶や懐かしい透明の炭酸ソーダの瓶。一合の日本酒の透明の瓶もある。それらに泡盛の銘柄のラベルが貼られている光景は、マニアならたまらないだろう。しかし、ボトルの種類ごとに容量が違うので、価格をつけるのも大変だったのではなかろうか。物資不足の中、戦争や占領下の人々の苦労と泡盛づくりへの情熱がしのばれる。
 ちなみにすべて中身が入って、封をしたままだ。蒸発で目減りしているものもあるが、ほとんどが8割以上入っている。ということは、ウイスキーのポケット瓶に入った40年物の古酒ということだ。どんな味がするのかなど、興味はつきない。
 また、ラベルに年月がマジックなどで書き込まれているものも多数見かける。これは自分で瓶のまま貯蔵して楽しむために購入者が書き入れたものなのだろうか。あるいは子どもが生まれた時、成人した時に一緒に飲もうと、買い求めたものかもしれない。
 その後、しばらくたって泡盛の定番である3合のボトルが作られるようになった。次第にさまざまなボトルが登場して現代に至る。昔から考えれば、今のボトルの多彩さは、想像もつかない世界だろう。瓶だけを眺めていても、泡盛の歴史の変遷を楽しむことができる貴重なコレクションだ。

各泡盛メーカーが力を入れる“もろみ酢”
 ゲストギャラリーに戻ってくると、お待ちかねの試飲だ。古酒の「まさひろゴールド」や「まさひろブラック」などを試飲することができ。そして、薦められたのが“もろみ酢”。泡盛の黒麹菌には、殺菌作用に加え、麹を醗酵させる際に多量のクエン酸を発生させるという特徴がある。泡盛蒸留後のもろみには、疲労回復に働きかける豊富な「クエン酸」と、カラダのさまざまな機能を構成するとされ、サプリメントとしても注目される「アミノ酸」が18種類以上バランス良く含まれているという。
 もろみ酢は、今、泡盛の酒蔵が最も競い合っている商品かもしれない。黒糖入りや蜂蜜入りなど、飲みやすくするための工夫に各社しのぎを削っているので、健康に良いと信じる方は飲みやすい“もろみ酢”を酒蔵をまわって見つけてみては。
 そしてゲストギャラリーには大きな甕がたくさん置いてある。今沖縄では100年の古酒を造ろうという運動が盛り上がっている。戦火で古い古酒がほとんど残っていないため、これから子孫のために古酒を造ろうというもの。大きな甕は100年後に向けて泡盛を貯蔵中だ。過去を振り返るだけではなく、未来に向けて新たな歴史が作られはじめている。

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