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研究読物 神酒を醸すどぶろく祭(茅野)
現在、神酒を自家醸造している神社は全国に43社ある。長野県茅野市の御座石神社もそのひとつであり、毎年四月には氏子が境内に集って、どぶろくを酌み交わしている。その祭りの成り立ちや酒づくりの様子をご紹介しよう。

住民参加の伝統祭事
祭りの舞台となる御座石(ございし)神社は、中央線茅野駅より東北へ約2キロ、八ケ岳山麓北山浦の入り口にあたる場所に鎮座している。この地域は、古くは矢ヶ崎村と呼ばれていたが、何回かの町村合併を経て昭和33年に茅野市となった。氏子たちの集住する神社周辺は本町地区と呼ばれ、市の中心地であり商店なども密集している。
同地区の戸数は、平成9年現在で606戸。七つの丁目があり、それぞれに丁目代表・氏子総代が一名ずつ選出される。そして、その中から、祭りで重要な役割を担う総代長・副総代長が一名ずつ選ばれる。住民は、ジッコと呼ばれる旧住民と、キリュウ(寄留者の意か)と呼ばれる新住民より構成される。特に七丁目は新興住宅地帯で、新住民がその大半を占めている。
御座石神社は、諏訪大社上社の摂社で、諏訪明神(建御名方命(たけみなかたのみこと))の母神、高志沼河姫命(こしのぬまかわひめのみこと)を御祭神としている。どぶろく祭りは4月27日に行なわれる当社の例祭である。
その起源は遠く中世にまで遡る。すなわち嘉禎四年(1238)の『守矢文書(もりやもんじょ)』や『諏訪大明神絵詞(えことば)』に矢ヵ崎祭と記載されたものがそれで、大社大祝(おおほうり)の軍陣発向の祭りとして描かれている。やがて近世になると独活祭(うどまつり)と呼ばれるようになり、平田篤胤の『古史伝二十三之巻』には一般参詣者にも独活(うど)の粕和えが振舞われたとの記述がある。現在のようにどぶろく祭りと呼称されるようになったのは昭和の時代に入ってからである。
ところで、この祭りの起源伝承には次のようなものがある。
まず、諏訪明神が八ヶ岳山麓へ狩りに出た折、母神がどぶろく、鹿肉、うどの粕和えで息子神をもてなしたという話。また、諏訪明神がある年の大晦日、母神のもとへ挨拶に行って帰る途中で夜が更けてしまったので、やむなく土産にもらったどぶろくを開き、一人で大歳明けを祝ったとの話も伝承されている。

半年前から祭を準備
氏子たちは早くも前年の秋から祭りの準備に取りかかる。まず鹿肉を準備し、腐らないよう塩漬け(現在は冷凍保存しておき、祭の3〜4日前に解凍して塩で揉んでいる)にして保存する。一方、どぶろくは、氏子たちの中から選ばれた三人の当番により、4月中旬頃より境内の濁酒醸造蔵で造りに入る。そして同月25日に税務署立合いのもとで検査を受けたのち、祭り当日の神饌として供される。
祭りの前日、氏子・氏子総代らは神社に集合し、事前の打ち合せと境内の清掃・会場設営を行なう。当日は、朝8時から祭主・氏子総代・当番・区役員らが集合し、当番から区長へと醸造蔵の鍵が引渡されるのである。
その後、揉み火による「火切り神事」が行なわれ、発火した種火は鳥居のそばに築かれた柴竃に移される。鹿肉はこの火でもって煮込まれ、茹で上がるやただちに、丁目、組ごとに切り分けられる。他方、役員たちを中心として、うどの粕和え作りとどぶろくの分配作業(どぶろくが蔵から出され、各丁目、組が記されたポリ容器に注がれる)が進められてゆく。
そして9時を回る頃に次年度のどぶろく当番の抽籤式をおこなう。神前に捧げられた籤を総代長が引く。彼が当選者の名を読み上げると、次年度の当番の名前は、ただちに社務所前に貼り出される。
10時になると行列がしつらえられ、犬射原・大歳の二社へ向けて、どぶろく奉納に出発する。総代長を先頭に、どぶろくの入った酒樽・長持ちを担いだ白丁姿のどぶろく当番が後に続く。以前は徒歩で見物客などにどぶろくを振る舞いながら行列をすすめたそうであるが、今はは乗用車で移動する。
行列は御座石神社に11時半頃に戻ってくる。この頃になると、すでに神社の会場設営作業は完了しており、来賓受け付けや本町商工会のテントが設置され、どぶろくまんじゅうの売店となっている。この売店が一般者用のどぶろくの賞味所となっている。

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