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大人のアイリッシュパブ  
静かなロケーションが似合う店だ
いかにもゆるい感じのカウンター こんなに落ち着いたパブは久しぶりだった。世界中の飲食業態が集まっている上海には、アイリッシュパブはたくさんある。新しいところもあれば老舗もあるわけだが、どこかに気ぜわしい感じがあって寛ぎきれない。客のほとんどが欧米人で英語と中国語が飛び交っているせいとも思ったが、それはこの店も同じこと。ビリヤードをやったり、スポーツ観戦に興じたり、バンドの生演奏を楽しんだりというのも同じようなものなのだけれど、あえて言えば客が騒ぎに来ていない感じがする。
 タラモアデューのソーダ割をストローで吸う。よく冷えていてすっきりうまい。上海でハイボールを頼めば8割はストロー付。ソーダが別に出てくることも多いし、小さなキューブアイスが山ほど入っていることもある。カウンターを窺っていると女性バーテンダーが氷をグラスに入れてからウイスキーをワンショット、クルクルとマドラーで回してしっかり冷やしてからソーダを注いでいる。やっぱりこのつくり方はハイボールの王道だと納得する。
拍手も無いのに淡々と歌う二人組み と、目の前のテーブルにいた二人の男性がおもむろに演奏を始めた。若い方がギターを弾いて、白髪の太っちょオヤジが歌う。知らない曲だったけれどちゃんと聴ける。一曲終わったが拍手はなし。ステージに立っていないせいもあろうが、要するに誰もしっかりとは聴いていない。二人もそれはわかっていて、たんたんと歌い続ける。
ボーっと聴いていると、「ギネスはいかが。今なら1杯につき1回ダイスが振れるわ。当たったら上海セブンス(7人制ラグビー)のチケットがもらえるの」とかわいらしい女の子に声をかけられる。試合の日には上海にいないのだけれど、おもしろそうなので1杯つきあう。久々のギネスは思いのほか軽くて、漆黒の見た目とのギャップは大きい。日本でもそんな声が多いのではないだろうか。
 などと脈絡の無いことを考えながら寛ぐにはいい店だ。
アイリッシュウイスキーのハイボールはキキリと冷えて上出来

(文・写真 酒文化研究所 山田聡昭)